- 監修:磯部頼子先生
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啓子先生からの入園アドバイス
啓子先生 | ちー先生 | ハジメ先生 | ||||
幼稚園教諭暦ウン十年のベテラン。どんな問題も、啓子先生が来ればすべて解決! | 幼稚園教諭暦3年。こどもたちと遊ぶときも全力、叱るときだって全力! | 幼稚園教諭暦1年目。落ち着きのある癒し系。でも体を動かす遊びでは別人に! |
けんかの場面って、どのタイミングで仲介に入るかが悩みどころ。 |
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あら。ちー先生が迷うのは、例えばどんなとき? |
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そうですね……。例えば言い合いになっているようなときは、できれば大人は少し様子を見て、子どもが自分たちで相手の思いに気づいたり、どうすればいいか考える時間を与えてあげたいなと思うんです。でも、手が出たり、危険につながるような場合はすぐに止めなくちゃいけないし、その見極めが難しいことがあります。とにかく気が抜けないっていうか。 |
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確かに子どもは突発的にたたいたり、蹴飛ばしたりしてしまうこともあるから、けんかが始まったら目を放さないようにしなくちゃいけないわね。それに、子ども同士で解決してほしいと思うことも大切だけれど、年齢によっては不可能なこともあるわね。自分たちで解決するには、子どもが状況を客観的に見る力をもっている必要があるんです。 |
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確かに、ときどき子ども同士で解決しようとして、押しの強い子の意思に偏った結果になってしまいそうなこともあります。 |
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友だち同士の関係性も重要なのよね。うーん。タイミングを判断するポイントは、やっぱりたくさんありますね。 |
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でも、大人がそれをきちんと見極めて、お互いの気持ちを代弁したり解決策を提案したりしていけば、けんかをしている本人だけでなく周りで見ている子どもたちにもさまざまなことに気づいたり考えるきっかけになるわね。 |
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みんなの反応を通して、「してはいけないこと」や「しなくてはいけないこと」もわかってくるんですよね。けんかは社会性や道徳性を育てる場面でもある。 |
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私たちは子ども同士での解決を焦らずに、経験を通して判断の基準を積み重ねられるように、ていねいにかかわっていかなくちゃいけないですね。 |
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「その場をうまくおさめよう」という気持ちだけにならないようにね。常に子どもの気持ちを受け止め、育ちにつながっていくように、子ども自身が自分が大事にされ、思いをわかってもらえたことが実感できるようなサポートを目指していきましょう。 |
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子どものけんかは、「できれば避けたい」という気持ちもあります。でも、けんかは子どもが自分の思いを存分に表す場でもあり、また、相手の気持ちなどさまざまなことに気づく大切な場でもあるのです。特に集団生活の中では、ぶつかり合うことも人間関係を広げるための重要な体験。同時に、みんなで生活していくには、決まりやルールが必要なことも学びます。
おうちのかたも、けんかが起きないようにすることだけを考えるのではなく、起きたときにどうするかを考えるようにしましょう。その方が子どもの成長につながることもあるのです。
また、けんかの原因となった場面に大人が居合わせなかった場合、原因や経過について根掘り葉掘り聞こうとしてしまいがちですが、これはあまり効果的ではありません。特に5歳以下では、当人同士もよくわかっていなかったり、うまく説明できなかったり、周囲にいる子の説明もあいまいなことが多いのです。こんなときは、子どもの説明に振り回されることなく、まず、一人ひとりの「痛み」を受け止めることが大事。そのうえで、大人が仲介しながら気持ちを静めていきましょう。大人のかかわりが子どもたちの判断基準のモデルになっていきますよ。
※ここでご紹介している事例やアドバイスは、磯部先生監修の「子どもの発達と保育のポイント」を元に作成しています。