【第一次世界大戦と日本】第一次世界大戦の間に日本が何をしたのかよくわかりません
第一次世界大戦に連合国の一員として参加,とはいっても日本はヨーロッパでの大きな戦闘に加わっていないようなのですが,いったい,日本は何をしていたのでしょう?
進研ゼミからの回答
こんにちは。
それではさっそく,質問について回答させていただきます。
【質問の確認】
第一次世界大戦に連合国の一員として参加,とはいっても日本はヨーロッパでの大きな戦闘に加わっていないようなのですが,いったい,日本は何をしていたのでしょう?
【解説】
第一次世界大戦に日本が自ら手をあげて参戦したのは,もちろん義理や人情の話ではありません。戦争を利用して利益を得ようとしていたからです。ここでは,「勢力の拡大」「不況の打破」という2つの観点から,大戦中の日本の動きを追ってみましょう。
≪勢力の拡大≫
中国での勢力拡大をねらっていた日本にとって,第一次世界大戦は大きなチャンス。日本は,ヨーロッパ諸国が戦争に気を取られているスキに,中国へ進出してドイツが持っていた権益を奪っていったことをおさえましょう。この過程でおさえるべきポイントは以下の3点です。
1:[参戦の経緯]
日本は日英同盟を理由に,第一次世界大戦に連合国側として参戦。ドイツに宣戦布告した。(中国進出のための布石)
2:[中国におけるドイツ権益を接収]
日本は,ヨーロッパ諸国が戦っているスキにアジア・太平洋地域におけるドイツの根拠地へと進出。青島,山東省を接収し,さらに赤道以北のドイツ領南洋諸島の一部を占領した。
3:[二十一カ条の要求]
日本は,ヨーロッパ諸国が大戦のため中国問題に介入できないのをいいことに,中国の袁世凱政府に二十一カ条の要求を突きつけ,勢力の拡大をはかった。それにより,中国で反日感情が高まり,欧米列強も日本に対して警戒心を抱くようになった。
●要求の内容
・山東省におけるドイツ権益の継承
・南満州・東部内蒙古の権益強化
・福建省の他国への不割譲の再確認
・日中合弁事業の承認
≪不況の打破≫
第一次世界大戦が日本にもたらしたのは,勢力の拡大だけではありませんでした。大戦の影響で,日本は輸出を大幅に伸ばし空前の好況をむかえることになったのです。ここでは,好況の要因と,大戦景気が日本に与えた影響についておさえましょう。
【好況の要因】
・世界的な船舶不足による海運業・造船業の好調
・ヨーロッパ諸国のアジア市場からの後退
・アメリカへの生糸輸出増
・重化学工業の発達
【大戦景気の影響】
・日本は輸出超過で債権国へ
・工業生産額が農業生産額を上まわる
・成金が現れる
・物価高騰
【アドバイス】
この機会に,教科書や『進研ゼミ』の教材を参考に,このころの日本が何を目的として何を行ったのかなど,「背景」や「原因・理由」,「結果」「影響」を整理してみましょう。