【天気/災害・環境】なんで台風や強い低気圧で海水面が異常に上昇するんですか?
台風や強い低気圧で海水面が異常に上昇する,とありますが,なぜ海水面が上昇するのかわかりません。
説明を読んでも「台風などの低気圧によって海水が吸い上げられる」という意味がよくわからないので,詳しく教えてください。
進研ゼミからの回答
こんにちは。 さっそく質問に回答しますね。
【質問の確認】
【問題】
次の空欄に適当な語句を記せ。
台風や強い低気圧によって海水面が異常に上昇することがある。この現象を(⑦)という。特に,奥の方が狭くなっている湾に対して台風や低気圧による風が吹き込むと(⑦)が著しくなり,大きな被害が出ることがある。
【解答】
問題文中の「台風や強い低気圧によって海水面が異常に上昇することがある。」というところを詳しくご説明しますね。
【解説】
まず,「気圧」とは何なのかということから考えてみましょう。
ストローでジュースを飲むことができるのは,気圧のおかげです。
コップのジュースの表面に空気が乗っている状態でストローの中の空気だけを吸って減らすので,ジュースがストローの中に上がってくるわけです。
台風や強い低気圧の場合も,ストローの場合と同じで,中心付近は周囲より気圧が低い(=空気が少ない)ため,海水が盛り上がるわけです。
ストローと比較するほどではないだろうと思うかもしれませんが,気圧低下による海面上昇は,1hPaの気圧低下で1cmといわれています。
平均的な気圧は1013hPaですから,例えば950hPaの台風の場合は海面が63cm上昇することになります。
このような効果を「吸い上げ」といいます。
「吸い上げ」と,次に説明する「吹き寄せ」の2つが主な要因となって発生するのが,「高潮」です。
「吹き寄せ」は台風にともなう強風により湾の奥に海水が吹き寄せられる現象です。
特に水深が浅いと吹き寄せ効果が強くはたらき,湾の奥での海面上昇が大きくなり,浸水の被害が起きやすくなります。
高潮で大きな被害が出た伊勢湾台風では,吸い上げ効果で約70cm,吹き寄せ効果で約270cm海面が上昇したと見積もられています。
【アドバイス】
日本で見られる気象現象や気象災害については,季節ごとに正しく理解しておきましょう。
図を用いてメカニズムをノートに整理しておくと,後に確認するときにもわかりやすくて便利です。
今後も「進研ゼミ高校講座」を活用して,レベルアップをめざしましょう。