【大気・海水の運動】海水が極地方で沈みこんでいくのはどうしてですか?
海水が極地方で沈み込んでいく理由がよくわかりません。解説の「塩分が大きくなっていて,密度が大きくなっているので,沈み込んでいく。」というところが特にわかりません。詳しく説明をお願いします。
進研ゼミからの回答
こんにちは。 さっそく質問に回答しますね。
【質問の確認】
【解答】
①,④
【解説】
水温が低いほど,また塩分が大きいほど,海水の密度は大きい。海水から氷ができるときに塩類は氷に入っていきにくいので,氷ができると残された海水の塩分は大きくなる。極地方では水温が低く,海水から氷が生成されているので海水の塩分が大きくなっていて,密度が最も大きくなっているので,沈み込んでいく。
この問題の解説の「塩分が大きくなっていて,密度が最も大きくなっているので,沈み込んでいく。」というところを中心に,海水が極地方で沈み込んでいく理由について詳しくご説明します。一緒に見ていきましょう。
【解説】
下の図は,地球を巡る海水の大循環モデルです。
表層の海水は,北極に近いグリーンランド付近(図の,点線で囲まれた付近)で深層に沈み込んでいます。
海洋において海水が表層から深部に向かう鉛直方向の流れは,水温や塩分濃度の違いによる海水の密度変化が原因で,極地方で起こります。
表層に何らかの理由で密度の大きな海水ができると,その下のより密度の小さい海水と入れ替わるように沈み込みます。
重いものは沈んでいくわけです。
海水の密度が大きくなる原因を考えてみましょう。
一般に,液体は温度の低下にともない密度が大きくなりますが,真水は4℃で密度が最大になります。しかし海水の場合は,塩類を含んでいるため結氷温度になるまで密度は大きくなり続けます。
極地方の表層では海水の温度が低下し,結氷温度近くに到達した海水の密度は大きくなります。…①
海水には塩化ナトリウムNaClなどの塩類が溶けています。
海水の塩分濃度は平均的には35‰(パーミル)で,海水1㎏中には約35gの塩類が含まれています。
ただし,海水の塩分濃度は海域によって異なります。
極地方で海水が凍って氷になるとき,塩類は氷に取り込まれず海水中に取り残されます。
水は減るのに塩類はそのまま残るので,海水の塩分濃度が増加し,海水の密度が大きくなります。…②
①と②の結果,極地方の表層の海水は低温で高塩分の密度が非常に大きな海水となり,表層から深部に沈み込みます。
【アドバイス】
海水がどのように地球を循環しているのか,また,海洋の循環が地球の気候にどのように影響しているのかについて理解しておきましょう。
今後も「進研ゼミ高校講座」を使って,得点を伸ばしていってくださいね。