【中和反応と塩】中和滴定の器具の扱い方
中和滴定の実験に関する問題で器具の使い方がよく問われますが,いまひとつ知識が曖昧です。
中和滴定に用いる実験器具の使い方について詳しく教えてください。
進研ゼミからの回答
こんにちは。いただいた質問について回答します。
【質問内容】
中和滴定に用いる実験器具の使い方について,いまひとつ知識が曖昧なので,詳しく教えてください。
という質問ですね。
【質問への回答】
中和滴定では,上に示したような独特な器具を用いて実験します。
まず,それぞれの器具の名称を正しく覚えましょう。
さて,この実験では,濃度がわかっている酸(または塩基)を用いて,濃度がわからない塩基(または酸)の濃度を求めることを,できるだけ正確に行うことが要求されます。
そこで,より正確に行うために,次のように実験操作します。
1.あらかじめ正確に濃度を求めてある酸(または塩基)を,ビュレットに入れます。このとき,ビュレットの中が汚れていては実験が不正確になるので,実験に用いる溶液で内部を洗っておきます。
純水で内部を洗うと,仮に少量でも純水が内部に残っていたら,実験に用いる溶液が薄まってしまい濃度が不正確になってしまうので,絶対に行いません。
2.濃度不明の酸(または塩基)は,ホールピペットを用いて体積を正確にはかり,コニカルビーカーに入れます。そこに含まれている濃度不明の酸(または塩基)の物質量をx〔mol〕とすると,そのホールピペットを用いて体積を正確にはかった体積中には,いつもx〔mol〕存在することになります。
そこに指示薬を少量加えて,中和滴定の実験を始めます。
ホールピペットはあらかじめきれいに洗浄し,内部が乾いているものを使用します。内部が水でぬれていると,はかりとる溶液が薄まってしまうので不正確になります。また,コニカルビーカーは,濃度不明の溶液を入れる前に純水で洗浄しますが,内部が純水でぬれていてもかまいません。コニカルビーカーに決まった量の塩素(ここではx〔mol〕)が入っていればよいのです。薄まっても全部でx〔mol〕入っていればかまいません。
ここがポイントです。
なお,1の操作で,酸(または塩基)の濃度をあらかじめ正確に求めるのに,メスフラスコを使います。例えば,正確に水酸化ナトリウム水溶液をつくるには,正確に質量をはかった水酸化ナトリウムの固体をあらかじめビーカーの中で溶かし,その溶液と洗液をすべてメスフラスコに入れ,そこに純水を加えて標線まで正確に入れます。後から純水を加えますので,メスフラスコは実験前に純水できれいに洗った後容器内がぬれていてもかまいません。
【学習アドバイス】
中和滴定に使用する器具の問題では,その名称だけでなく,使い方,器具がぬれていたときの使用方法などについても聞かれることがあります。
実験のそれぞれの段階において,何を正確にはかり取らなければならないのか,どんな操作を行わなければならないのかに注意して,使用する器具を選ぶようにしましょう。また器具がぬれていたときも,その器具を使用するときに入っている物質量が変わってはいけないのか,それとも濃度が変わってはいけないのかに注意するようにしましょう。
それでは回答を終わります。
これからも『進研ゼミ高校講座』の教材を利用して,力をつけていきましょう。