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生物基礎 定期テスト対策【血液と肝臓・腎臓】濃縮率から原尿生成量を求める計算がよくわかりません。

【血液と肝臓・腎臓】濃縮率から原尿生成量を求める計算がよくわかりません。

濃縮率の計算がよく分かりません。解説に「再吸収されない物質の濃縮率を,時間当たりの尿量にかけても求められる。」とかいてあるのですが,再吸収されない物質の濃縮率と時間当たりの尿量の計算も分からないので求めることができません。教えてください。宜しくお願いします。

進研ゼミからの回答

こんにちは。 さっそく質問に回答しますね。

【質問の確認】

【問題】
次の表は,ある哺乳類に,血中濃度が一定に保たれるよう試薬Xを点滴し,この間の血しょう中,原尿中および尿中における各種成分の濃度(いずれの単位もmg/mL)を測定した結果である。

成分 血しょう中濃度 原尿中濃度 尿中濃度
タンパク質 75 0 0
グルコース 1.0 1.0 0
尿素 0.3 0.3 20
ナトリウム 3.2 3.2 3.5
試薬X 0.1 0.1 12

この動物の1時間当たりの尿生成量が100mLであったとすると,1時間当たりの原尿生成量は何mLか。

【解答】
12000(mL)

【解説】
試薬Xは,尿1mLに12mg含まれているので,1時間当たりに生成される尿(100mL)には1200mg含まれていることになる。この試薬の特性(体内では一切化学変化せず,ろ過されても全く再吸収されないで尿中に排出される)に基づけば,1時間当たりに生成された原尿中に含まれていた試薬Xが,そのまま100mLの尿中に排出されたはずであり,1時間に生成された原尿は,1200mgの試薬Xを含むはずである。したがって求める値は,
1200 [mg] ÷ 0.1 [mg/mL] = 12000 [mL]  となる。

濃縮率:物質の尿中の濃度を,血しょう中の濃度で割った値を濃縮率という。
原尿生成量は,今回使用した試薬Xのようなろ過されるが再吸収されない物質の濃縮率を,時間当たりの尿量にかけても求められる。

この問題の解説の最後に書いてある
「再吸収されない物質の濃縮率を,時間当たりの尿量にかけても求められる。」の部分について,再吸収されない物質の濃縮率と時間当たりの尿量の計算がわからず,原尿生成量を求めることができないので教えてください。
というご質問ですね。

【解説】

まず,腎臓の尿生成のしくみについて確認しておきましょう。

ろ過・・・腎動脈から送り込まれた血液は,糸球体でろ過され,血球・タンパク質以外の成分がボーマンのうにこし出され原尿になる。

再吸収・・・原尿は細尿管や集合管を通過する間に多くの成分が毛細血管に再吸収される。

グルコース・・・すべて再吸収される

水、Na+、Cl-・・・あまり再吸収されない

尿素,クレアチニン・・・あまり再吸収されない

血液中の無機塩類や水分の再吸収量はホルモンによって調節される。
再吸収されなかった老廃物は濃縮され尿の成分になり,腎うから輸尿管によってぼうこうに送られる。

腎臓での再吸収と尿の生成
では,質問内容について解説します。物質の濃縮率は,次の式で求めることができます。
物質の濃縮率
よって,試薬Xの濃縮率は,12 ÷0.1 = 120 で,血しょう中に比べて尿中の試薬Xの濃度が120倍に濃縮されていることがわかります。
試薬Xは全く再吸収されないので,原尿中に含まれる量も尿中に含まれる量も変わりません。
したがって,120倍に濃縮されたのは,水が再吸収されてできた尿の量が原尿の120分の1の量になったためと考えられます。

120分の1の量である尿生成量が100mLのとき,原尿生成量は
100 [mL] ×120 [倍] = 12000[mL]
と求めることができます。

全く再吸収されない物質の濃縮率と時間当たりの尿生成量がわかっている場合は,この考え方ですぐに時間当たりの原尿生成量を求めることができるので類題で練習しておくとよいでしょう。

【アドバイス】

腎臓での尿生成のしくみと合わせて濃縮率について再度確認しておきましょう。
また,今回の問題に似た問題がよく出題されますから,この問題の考え方を正しく理解しておきましょう。

  • ここで紹介している内容は2017年3月時点の情報です。ご紹介している内容・名称等は変わることがあります。

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