【生態系】生態ピラミッドの種類がよくわかりません。
生態ピラミッドには3種類あることは分かりましたが,同じように見え,違いがよく分かりません。個体数ピラミッドと生物量ピラミッドが逆転することがあるということですが,意味がよくわかりませんでした。
進研ゼミからの回答
こんにちは。さっそく質問に回答しますね。
【質問の確認】
【問題】
文章中の空欄①~③に適当な語句を答えよ。
食物連鎖の各栄養段階の個体数を示す個体数,生物の重さを示す( ① ),合成する有機物量やエネルギー量を示す( ② )を単位面積当たりで求め,それらを積み重ねてみると,いずれもピラミッド型の関係が成り立つ。それぞれを個体数ピラミッド,( ① )ピラミッド,( ② )ピラミッドと呼び,これらをまとめて( ③ )ピラミッドという。個体数ピラミッドや( ① )ピラミッドは上下の大きさが逆転することがあるが,( ② )ピラミッドは逆転することはない。
【解答】
① 生物量 ② 生産力(生産速度) ③ 生態
【解説】
食物連鎖の各栄養段階の生物の重さ(一般的には乾燥重量)を単位面積当たりで求め,それを積み重ねた図を生物量ピラミッドという。また,各栄養段階の一定期間内の生産量を単位面積当たりで求めて,それを積み重ねた図を生産力(生産速度)ピラミッドという。個体数ピラミッド,生物量ピラミッド,生産力ピラミッドなどをまとめて生態ピラミッドという。
個体数ピラミッド,生物量ピラミッドは,上下の大きさが逆転することがあるが,生産力ピラミッドは逆転することはない。
この問題について,
・3種類の生態ピラミッドの違いはどこか。
・「個体数ピラミッドと生物量ピラミッドが逆転する」とはどういうことか。
というご質問ですね。
【解説】
生態ピラミッドには,
① 個体数ピラミッド
② 生物力ピラミッド
③ 生産力ピラミッド
の3種類があります。
① 個体数ピラミッド
② 生物量ピラミッド
生物量は,一定面積内に存在する生物体の総量で,「生物量=ある生物の1個体の重量×その個体数」を計算して求めます。
一般には,栄養段階が上がるごとに消化されずに排出されたり,呼吸で消費される量があるため,生物量は少なくなり,ピラミッド型になります。
これを生物量ピラミッドといいます。
③ 生産力ピラミッド
一定面積内で一定期間内に各栄養段階が獲得する有機物量やエネルギー量を生産力といいます。
生産者(主に植物)では,光合成によって合成する有機物の総量(総生産量)から,自身の呼吸によって消費する量(呼吸量)を差し引いた純生産量から導きます。
また,消費者では,食物として食べた有機物からエネルギーを得ており,この量は必ず一つ前の栄養段階の生産力より小さくなります。すなわち,栄養段階が上がるほど生産力は小さくなり,生産力ピラミッドが逆転することはありません。
【アドバイス】
今回は生態ピラミッドについて考えましたが,生態系では教科書等に示されているいろいろな図の意味を正しく理解しておくことが重要です。
問題において具体的な生物で考える場合であっても,これらの図を用いて分析することができるようになっておきましょう。
これからも,『進研ゼミ高校講座』にしっかりと取り組んでいってくださいね。