


目標16 平和と公正をすべての人に
世界には、紛争(ふんそう、国の中でのあらそいのこと)や災害の多い地域で生活している子どもたちが5億人以上います。日本にいると実感がわかないかもしれませんが、世界では4人に1人の子どもが、安心できない環境(かんきょう)で生活しているということです。 また、性的虐待(ぎゃくたい)や家庭内での暴力なども世界中で行われており、人身売買が行われている地域も残っています。特に、子どもや女性がこうした被害(ひがい)を受けることが多くなっています。 世界中の人が、危険におびえずに安心して生活できるようにするためには、平和と公正を大事にするルールを作り、それがきちんと守られるようにしたり、より良くなるように変えていったりすることが大切です。
身の回りにある「ルール」を見直してみよう!
ルールは、私たちが安心して生活する上で、大切な役割を持っています。
例えば、人に暴力をふるったりお金をうばったりすることは犯罪で、それをやぶった人には罰(ばつ)があるというルール(この場合は法律)があるので、私たちは外を歩いている時に「だれかになぐられてお金を取られるんじゃないか」といつもびくびくしていなくてすみます。ただし、こうしたルールが守られていない場所では、私たちはやはり不安な気持ちになるかもしれません。
もちろん、すべてのルールが大切で、必ず守らないといけないとは限りません。ルールの中には、人間が不自由になってしまうようなルールや、特定の人たちが自分の得になるように作ったルール、時代に合わなくなってしまったルールなどがあるのも事実です。
ここでは、私たちの身の回りにあるルールを探し、その内容や、なぜそのルールが作られたのかを見直してみましょう。

やってみよう!
用意するもの
- えんぴつ
- ワークシート
できるだけたくさんの「ルール」を見つけよう
まずは、あなたが「ルール」と思っているものなら何でも良いので、ルールを見つけたり思い出したりして、できるだけたくさんワークシートに書き出してみましょう。
法律のように社会全体ではっきりルールと決められているものだけでなく、例えば「ろう下を走らない」「学校の帰りに寄り道をしない」というような特定の場所での決まりや、マナーと言われるようなものでもかまいません。
すぐに思いつかないという人は、例えば
「社会のルール(法律など)」
「学校のルール」
「家族のルール」
というように種類を分け、目標の数を決めて(1種類につき10個ずつなど)ルールを書き出してみてください。
短時間にすべて書き出そうとせずに、看板に書かれているルールを発見する、家族との話の中でルールを思い出すなど、生活の中で「あ、これはルールと言えるかも」というものを見つけることが大事です。
できれば2〜3日かけて、身の回りにある色々なルールを探してみましょう。
( 学校 )のルール | ||||
---|---|---|---|---|
内容 | 作った人 (予想) |
作った目的 (予想) |
みんなのためになるかどうかと、その理由 | 私のためになるかどうかと、その理由 |
ろう下を走らない | 昔の校長先生 | みんなが転んでケガをしないため | ○ みんな走りたい時もあるが、転んだりぶつかったりしてケガをするよりは走るのをがまんしたほうが良い | ○ 私は自分から転んだことはないが、ろう下の曲がり角で走ってきた子にぶつかられたことがある |
そのルールは、だれが何のために作ったのかを考えよう
たくさんのルールを書き出すことができたら、それぞれのルールを作ったのは「だれ」で、「何のため」に作ったのかを考えてみましょう。
ワークシートの「作った人」と「作った目的」のところに、自分の予想を書いていきます。
法律などは、ルールを作った人や作った目的を調べればすぐ分かることもありますが、ルールによっては調べてもはっきり分からないことも多いので、あくまで予想で、実際にはちがっていてもかまいません。
どんなルールであっても、そのルールを作った人(あるいは人たち)がいることや、なぜそのルールを作ったのかを、自分自身で考えてみることを大切にしてください。
「みんなにとってためになる」ルールかどうかを考えよう
フランスの思想家ジャン・ジャック・ルソーは、ある国や地域で暮らす人たちにとっての「みんなにとってためになること」「みんなが望んでいること」があると考え、それを「一般意思(いっぱんいし)」と名付けました。ちなみにこれに対して、個人の望んでいることを「特殊意思(とくしゅいし)」と言います。
ルソーの考えでは、一部の人だけが得をするようなルールは正しいルールではなく、一般意思に合うようなルールが正しいルールです。また、あるルールが一般意思に合っているかどうかは人々が話し合い、最終的に多数決で決めるのですが、多数が賛成したからと言って正しいとは限らないとルソーは言います。もし、ルールを作った後に一部の人だけが得をしたり損をしたりして不公平が生まれているなら、それはやはり一般意思に合っていないルールなので、あらためる必要があるということになります。
こうしたルソーの考え方は、現在にいたるまで、日本をふくめた世界の国々の法律に大きな影響(えいきょう)をあたえています。
ルソーの考え方を参考に、1つ1つのルールが
「みんなのためになるルールかどうか」
「私のためになるルールかどうか」
を考えてみてください。
ワークシートには、「ためになる」と思う場合は「○」、「ためにならない」と思う場合は「×」を書き、そう思う理由についても書きましょう。
まとめよう!
わたしのアクション(やること)を宣言しよう!
やってみよう!を通して感じたことと、SDGs の目標「16:平和と公正をすべての人に」を踏まえて、自分ができることを宣言しましょう。
例) ・色々なルールについてあらためて調べてみると、特定の人が自分たちのために作ったように思えるルールや、みんなのためになっていないルールもかなりあることが分かりました。これからはただ「ルールを守ろう」と思うだけでなく、「みんなのためになっていないルールなら、変えよう」と声に出していくつもりです。
まとめよう
例)


さらに深める!
さらに研究を深めたい場合は、以下のようなステップで研究してから「わたしのアクション宣言」をしてみよう。
身の回りで調べよう!
インターネットで、実際の裁判を見学する方法について調べよう!
<参考サイト> 裁判所 見学・傍聴案内 https://www.courts.go.jp/courthouse/kengaku/index.html
世界について調べよう!
インターネットや図書館で、国境をこえる法律「国際法」について調べよう!
<参考サイト> 国連広報センター 国際法 https://www.unic.or.jp/activities/international_law/
参考になる本

こども六法
著者:山崎 聡一郎 出版社:弘文堂

僕らが生きているよのなかのしくみは「法」でわかる~13歳からの法学入門
著者:遠藤 研一郎 出版社:大和書房
総合監修:門川良平/「子どもと大人のSDGs学習ゲーム Get The Point」開発者
大学卒業後ベネッセコーポレーションに入社。進研ゼミ小学講座の教材開発、マーケティングに従事した後、通信制大学にて学び直し小学校教員免許を取得。都内の公立小学校にて教壇に立つ。その後、出版社にて学習事業のプロデューサーを経て独立。独自に開発した小学生から学べるSDGsゲームで、ワークショップ型の学びを展開中。
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