


目標10 人や国の不平等をなくそう
お金にゆとりがなく厳しい暮らしをしている人や、年れい、性別、障害、出身地などによって差別を受けている人たちは、日本の中にもたくさんいます。 世界に目を向けると、もっとたくさんの人たちが、お金のことで困っていたり、差別を受けていたりします。 その人が置かれている環境にかかわらず、だれもが活躍できる社会にしていくことが求められています。
お金の不平等を少なくするための「税金」
もっとも身近な「消費税」を
どれくらい払っているの?
ひとくちに「不平等」と言っても、「お金」についての不平等や、「人権」についての不平等など、さまざまなものがありますが、ここでは「お金」についての不平等に注目してみましょう。
仕事の内容などによって、もらえるお金(=給料)がちがうのは自然なことですが、豊かな人と貧しい人の間にあまりに大きな差(これを「格差」と言います)ができることは、不平等と呼ばれます。
また、ケガや病気などによって働けなくなった人が、生活に必要なお金を手に入れられなくなってしまう社会も、不平等と言えると思います。
こうした、お金についての不平等を少なくするための仕組みが「税金」です。色々なところから税金を集め、それをうまく使って厳しい暮らしをしている人たちを支えることは、国の大きな役割の1つです。
税金について、学校では小学6年生で学習します。まだ習っていない人にとっては、どんな仕組みなのかがよく分からないかもしれません。
でも、小学生でもほとんどの人が払ったことがある税金があります。商品の販売やサービスの提供などの取引に対してかかる「消費税」です。例えばコンビニやスーパーなどで買い物をする時や、レストランで食事をする時、わたしたちは商品やサービスそのものの代金に加えて、消費税を払っています。
もっとも身近な税金と言える消費税について、どれくらい払っているのかを調べてみましょう。

やってみよう!
用意するもの
- 筆記用具
- お店で買い物などをした時のレシート
- 電卓(またはスマートフォンなどの計算機アプリ)
- ワークシート「消費税について調べよう!」
レシートでの消費税の見方
消費税の調べ方は簡単です。どんな買い物の時のものでも良いので、レシート(領収書)を見てみると、消費税についての情報が必ず入っています。
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例えば、①の右の服屋さんでTシャツを買った時のレシートには、「¥1100(内消費税等 ¥100)」と書かれています。現在の日本の消費税率は10%ですから、Tシャツ代としてお店に払っているのは1000円で、その10%の100円は、お店が私たちからいったん預かった後に国に払います。
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一方、②のコンビニでおにぎりとお菓子を買った時のレシートには、「8.0%対象額 税込 ¥432(内消費税 ¥32)」と書かれています。上で見たように、日本の消費税率は基本的に10%ですが、「お酒や外食を除く飲食料品」と「週2回以上発行される新聞」については、消費税率が8%になっています。普通よりも税の負担が軽くなるので、このことを「軽減税率」と呼びます。
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③は先ほどと同じ、コンビニでプリントを印刷した時のレシートですが、「¥150(税込)」とだけ書かれていて、消費税率や金額については書かれていません。プリント代の消費税率は10%なので、もともとの値段(100%)と消費税(10%)の合計(110%)にあたる1.1で割って、1円未満(小数になったところ)を切り捨てると消費税が計算できます。実際に計算機に打ち込んでみると「150÷1.1=13.63...」という数字が出てくるので、消費税は13円。もともとのプリント代は、税込の値段の150円から消費税を引いた137円です。また、レシートでの消費税の書き方には、お店によってちがいがあることがわかります。
そのほかにも、色々なレシートを見ていると「例外」に気づくかもしれません。ぜひ、たくさんのレシートを集めて例外を発見してみてください。
「消費税」をどれくらい払っているかを計算してみよう!
お家の人にも協力してもらい、例えば夏休みの1ヶ月間などのレシートを集めて、普段の買い物の中でどれくらいの消費税を払っているのかを、ワークシートに記入していきましょう。
1行につき、1枚のレシートの情報を書き込むようになっています。
ちなみに最近では、インターネット上でよく商品を購入する人も増えているので、商品やサービスを買った時にレシートをもらわないことも多いかもしれません。
インターネットで買い物をした場合も、普通は領収書を発行してもらうことができますし、消費税をどれくらい払っているかを正確に知るにはそれらの情報もまとめる必要がありますが、まとめるのが大変であれば、簡単に集められるレシートだけを整理しても良いでしょう。
消費税率が変わると、金額はどう変わる?
自分で決めた期間のレシートを集めて、情報を整理できたら、その期間に支払った消費税の合計がいくらかも計算してみましょう。消費税の合計は、必ず買った商品やサービスのもともとの値段の8〜10%の間になるはずです。
実は、日本で消費税ができたのは1989年で、その時の消費税率は3%でした。
1997年に5%、2014年に8%になり、2019年に現在の形(基本的に10%、軽減税率の対象になる買い物は8%)になりました。
今回計算した消費税の合計について、もし昔の消費税率だったらどうなるか、これから消費税率が上がったらどうなるかも計算して、表に書き込んでみましょう。
( )%のところには、自分で好きな数字を入れてみてください。

まとめよう!
わたしのアクション(やること)を宣言しよう!
やってみよう!を通して感じたことと、SDGs の目標「10:人や国の不平等をなくそう」を踏まえて、自分ができることを宣言しましょう。
例) ・最初のうちは、色々なレシートで消費税がいくらかを見ていて、何十円、何百円くらいだったので、それほど高くないかなと思っていたのですが、お父さんがパソコンを買った時の領収書には消費税が1万5千円と書いてあって、高いものを買う時は消費税もかなり高くなることを実感しました。集められた消費税などの税金がどのように使われているのかにも興味が出てきたので、今後はそれも調べていきたいと思います。
まとめよう
例)


さらに深める!
さらに研究を深めたい場合は、以下のようなステップで研究してから「わたしのアクション宣言」をしてみよう。
身の回りで調べよう!
インターネットや図書館で、税金の歴史を調べよう!
<参考サイト> 国税庁 税の学習コーナー 税の歴史 https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page16.htm
世界について調べよう!
インターネットや図書館で、海外の国の税金について調べよう!
<参考サイト> 国税庁 税の学習コーナー 税の国際比較 https://www.nta.go.jp/taxes/kids/hatten/page13.htm
財務省 わが国の税制の概要 国際比較 https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/itn_comparison/index.htm
参考になる本

夏休みの自由研究のテーマにしたい「税」の話
編集:別冊税務弘報編集部 出版社:中央経済社
総合監修:門川良平/「子どもと大人のSDGs学習ゲーム Get The Point」開発者
大学卒業後ベネッセコーポレーションに入社。進研ゼミ小学講座の教材開発、マーケティングに従事した後、通信制大学にて学び直し小学校教員免許を取得。都内の公立小学校にて教壇に立つ。その後、出版社にて学習事業のプロデューサーを経て独立。独自に開発した小学生から学べるSDGsゲームで、ワークショップ型の学びを展開中。
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