【イスラーム世界の形成】イスラームの宗派について
イスラーム教のシーア派・スンナ派はよく出てくるのですが,その他のワッハーブ派とかの宗派がさまざまでわかりません。入試にむけて押さえておくべき宗派と違いについて教えて下さい。
進研ゼミからの回答
【質問内容】
イスラーム教のシーア派・スンナ派はよく出てくるのですが,その他のワッハーブ派とかの
宗派がさまざまでわかりません。入試にむけて押さえておくべき宗派と違いについて教えて下さい。
【質問への回答】
こんにちは。
いただいた質問について,さっそく回答させていただきます。
世界三大宗教の一つであるイスラーム教は,7世紀初めに成立しました。創始者ムハンマドの後継者問題から,イスラーム教の宗派は大きくスンナ派とシーア派に分かれたのでしたね。
これ以外の宗派について理解する際にも,この二つの宗派のどちらの系統に属するのか,区別しておくとわかりやすくなります。
大学入試で押さえておくべき宗派として,スンナ派の系統に分類できるものはワッハーブ派などであり,シーア派の系統に分類できるものは十二イマーム派・イスマーイール派・バーブ教などです。
【学習アドバイス】
ニつの宗派のどちらの系統に属するかを区別することで,宗派の違いが整理できてきたのではないでしょうか。イスラーム教の代表的なニつの宗派のうち,スンナ派が多数派でシーア派が少数派だと覚えたように,シーア派の系統のなかでは,十ニイマーム派が主流の穏健派でイスマーイール派が過激派だというように,特徴を対にして押さえておくと忘れにくくなりますよ。また,イスマーイール派が10世紀に建国したのがファーティマ朝(チュニジアに建国してエジプトを支配)だというように,それぞれの宗派に関連する時代をおおづかみにしておくことも大切です。16世紀のイランにおこったサファヴィー朝が十二イマーム派を国教としたことから,現在のイランやイラクではシーア派が多く分布しています。ワッハーブ派の改革運動(ワッハーブ運動)は18世紀に,バーブ教徒の乱は19世紀半ばにおこりましたね。
バーブ教については,反乱の背景となった宗派だというつながりが,よく問われます。19世紀のイランはロシアやイギリスの進出にさらされており,圧迫された貧困層の間でバーブ教が支持されました。バーブ教徒の乱は,カージャール朝の専制に対抗して武装蜂起した反乱で,信徒が多く参加したことが名称の由来ですが,ほどなく鎮圧されてしまいます。
入試では,単に宗教や宗派などの名称や特徴が問われるというよりも,いつの時代に・どの国で,それぞれの宗派が盛んになったのかという関連性が重要です。反乱や戦争の背景にある宗教・宗派は何か,といったつながりでも出題されます。以上をもとに,イスラーム教の宗派について混同しないように再確認しておきましょう。