【現代の思想】実存主義について
実存主義って, どんな思想ですか?
進研ゼミからの回答
こんにちは。
それではさっそく、質問について回答させていただきます。
【質問の確認】
実存主義って、どんな思想ですか?
【解説】
実存主義とは、19世紀のヨーロッパにおいて誕生した、「生きる道を自分で切り開く、今ここにあるひとりの人間の現実存在(=実存)としての自分のあり方」を求める思想です。
当時のヨーロッパでは、科学技術の進歩と資本主義の発展に伴い、社会が巨大化・組織化されていきました。そのなかで、人々が画一化・平均化していき、管理社会のもとで主体性を失っていると考えたのが、実存主義の哲学者たちでした。
彼らは、「すべての存在・事象は客観的な真理によって説明できる」とするそれまでの合理主義思想を批判して、すべての人間に普遍的にあてはまる本質を追究するのではなく、具体的で現実的な個々の人間のあり方を見つめるべきだとしました。そして、人々が自らの主体性を回復し、真実の自己を見いだすためにはどうすればいいかを考えたのです。
その先駆者とされるのはキルケゴールとニーチェです。20世紀には、ヤスパース・ハイデガー・サルトルらが実存主義の思想家としてあらわれました。
実存主義の思想家たちはそれぞれに考え方は違いますが、真実の自己のあり方・生き方を探究した点が共通しています。
■実存主義の主な思想家とその主張
キルケゴール | 神の前に単独者として立つ宗教的実存の段階において、人は本来の自己を取り戻し、主体的真理を見いだすことができる。 |
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ヤスパース | 限界状況で挫折を知るとき、超越者(包括者)の存在を感じ、実存に目覚める。また、本当の実存を確立するためには他者との実存的交わりも必要。 |
ニーチェ | 価値や道徳の基準であった「神」は死んだ。無意味・無目的に繰り返す永劫回帰の世界の中で、力への意思を発揮し新しい価値をつくり出す超人を目指すべきだ。 |
ハイデガー | 死への不安が実存から目をそむけさせ、ただの「ひと(ダス・マン)」にさせる。死への存在としての宿命を直視して実存を追究すべきである。 |
サルトル | 人間は自由に自己をつくり上げていける自由な存在だが、その決断は社会全体に責任を負う。自由に伴う責任を自覚して行動するところに真の実存が確立される。 |
【アドバイス】
キルケゴール、ヤスパース、ニーチェ、ハイデガー、サルトルの主張の違いや主著については『チャレンジ』などで確認しておきましょう。