【日本の労働問題と社会保障】日本の社会保障の4つの柱には何が含まれますか?
日本の社会保障に4つの柱があるのはわかるのですが、それぞれどのようなものが含まれるかよくわかりませんし、区別できません。どうしたらよいでしょうか?
進研ゼミからの回答
【質問の確認】
日本の社会保障に4つの柱があるのはわかるのですが、それぞれどのようなものが含まれるかよくわかりませんし、区別できません。どうしたらよいでしょうか?
【解説】
こんにちは。日本の社会保障の4つの柱についてのご質問ですね。
日本国憲法第25条は、生存権の保障について定めるとともに、生存権を保障することが国の責務だと規定しています。この第25条に基づいて政府は社会保障制度の整備を進め、社会全体の責任として国民の「健康で文化的な最低限度の生活」を保障しようとしています。日本の社会保障制度の4つの柱は、
①保険料を支払っておいて病気などになったときに給付を受ける「社会保険」、
②社会的な困窮者に一定水準の生活を保障する「公的扶助」、
③高齢者や障害者などに施設やサービスを提供したりする「社会福祉」、
④感染症対策をはかる「公衆衛生」となっていましたね。
では、比較的理解しやすい④公衆衛生から、具体的に何が含まれるか説明していくことにしましょう。
<④公衆衛生について>
地方自治体の保健所や保健センターなどが中心になって行います。
感染症対策としてイメージしやすいのは乳幼児期の予防接種でしょう。
また、がん検診などの各種健康診断や、浸水被害にあった住宅への消毒作業や、飼っている犬・猫などの保護・管理なども、公衆衛生に含まれます。
<③社会福祉について>
社会的に保護や援助を必要とする者に対し、各種の福祉法に基づいて施設を整えたりサービスを提供したりします。
高齢者・児童・身体障害者・知的障害者・母子などのうち誰を対象とするかでそれぞれ福祉法が定められています。
<②公的扶助について>
扶助の“扶”も“助”も、助けるという意味です。
公的扶助とは、生活保護法に基づいて困窮者を社会で助け支えることです。
具体的には、生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭の8項目のうち、必要な項目の必要な金額を合算して生活保護費を支給します。
不況の影響で生活保護の受給件数が増加していることがニュースになっています。
<①社会保険について>
医療保険は病気などになったとき、年金保険は高齢などになったときに、あらかじめ支払っておいた保険料を財源として給付されるものです。
職業別にどれに加入するかが分かれており、一般的な民間会社の被用者は「健康保険」と「厚生年金」に加入し、自営業者などは「国民健康保険」と「国民年金」に加入し、公務員などは「共済組合」と「共済年金」に加入することで、国民すべてを対象とした皆保険・皆年金が実施されています。
みなさんが病院へ行って実際にかかった費用の3割のみを窓口負担すればよいのは、医療保険があるからです。
なお、「後期高齢者医療制度」は75歳以上の高齢者全員を対象とした医療保険ですが、新たな制度につくりなおすことが検討されています。
雇用保険は失業者などに対して給付されます。
不況が深刻化すると、この“雇用”保険の給付額も増えていきます。
労働者災害補償保険は労働上の災害に対して給付されます。
介護保険は、介護が必要だと認定された者に給付される保険です。
40歳以上の国民が支払った保険料と税金を財源として、地方自治体が2000年から運営しています。
受給の認定をうけて老人ホームに入ったり、デイサービス施設に通ったり、ホームヘルパーに来てもらったりすると、利用者はかかった費用の1割を負担します。
【アドバイス】
それぞれの柱のなかが、どのような区別に基づいて細分化されているのか、意識して読んでいきましょう。4つの柱のなかには聞き慣れない用語が少なからず含まれているかもしれませんが、ある程度は記憶していく必要があります。今回は④公衆衛生から説明しましたが、慣れてきたら①社会保険からも読み進めてみてくださいね。何度も繰り返し復習し、自分なりにつかんだイメージとともに1つでも2つでも用語を覚えることで、社会保障制度についての理解を深めていきましょう。