【日本経済の歩みと課題】産業構造の高度化って何ですか?
産業構造の高度化が何のことなのかよくわかりません。
進研ゼミからの回答
【質問の確認】
産業構造の高度化が何のことなのかよくわかりません。
【解説】
まず、「産業構造」というのは、一国の産業全体のなかで、個々の産業がどのような比重をしめ、どのような関係を構成しているかをあらわしたものです。
具体的には、以下のように第一次産業・第二次産業・第三次産業に分類して考えます。
第一次産業・・・農林水産業など
第二次産業・・・鉱業、建設業、製造業など
第三次産業・・・卸売・小売業、運輸業、情報通信業、金融・保険業、サービス業など
途上国においては第一次産業の比重が高いのがふつうです。
これに対し、先進国においては第三次産業の比重が高くなるのがふつうです。
例えば現在の日本では、国内総生産(GDP)のなかで第三次産業のしめる割合も、全就業者のうち第三次産業に就業している人口の割合も、ともに7割程度と高くなっています。
これは、経済が発展するにつれて第一次産業の比重が低下し、より収益率の高い第二次産業や第三次産業の比重が高まる傾向があるからです。
このように、産業の比重が経済発展にともない、第一次産業から第二次産業、 さらには第三次産業へと移行していくことを「産業構造の高度化」とよびます。
かつては第一次産業を基盤とする農業国だった日本も、高度経済成長により製造業を中心とした第二次産業の比重が増え、さらに現在は第三次産業の比重が高まっています。
ちなみに、このような経済発展にともない、労働力が第一次産業から第二次産業へ、さらに第三次産業へと移っていくことを「ペティ・クラークの法則」といいます。
クラークは、長期間にわたる各国の大量なデータを実証的に分析することで、この法則をみつけだしました。
産業の比重そのものの移行を説明した用語が「産業構造の高度化」で、とりわけ産業間の労働力の移動に注目したのが「ペティ・クラークの法則」だとおさえておきましょう。
「産業構造の高度化」が進んでいくと、産業全体が“モノ(ハード)”をつくるだけではなく、知識・情報などの“サービス(ソフト)”の提供を重視するようになっていきます。
これを「経済のサービス化・ソフト化」とよんでいます。
サービス業を中心とした第三次産業ではもちろんですが、第二次産業や第一次産業においても、販売・流通にも主体的にかかわったり情報技術(IT)を導入したりして、“モノ(ハード)”に“サービス(ソフト)”をつけて付加価値を高める工夫をするようになっているのです。
【アドバイス】
第一次産業・第二次産業・第三次産業それぞれに、どのような産業が分類されるのかイメージをつかむことから理解を深めていきましょう。
経済発展にともなって、第一次産業から第二次産業へ、さらに第二次産業から第三次産業へと比重が移行していくのが「産業構造の高度化」ですが、日本ではこれが高度経済成長期に進んだことも頭の中に入れておきましょう。