熱化学方程式の反応熱の符号+、-について
熱化学方程式をつくるときに,反応熱の符号が+なのか-なのか迷うときがあります。迷わないではっきり書くコツがありますか?
進研ゼミからの回答
こんにちは。いただいた質問について回答します。
【質問内容】
熱化学方程式つくるときに,反応熱の符号が+なのか-迷うときがあります。迷わないではっきり
書くコツがありますか?
というご質問ですね。
【質問への回答】
熱化学方程式においては,右辺の最後に書いてある反応熱の符号が+の時は発熱反応を示し,-の時
は吸熱反応を示すことは,定義にもあると通りです。ところが,実際に問題を解くときに,自分で熱化学方程式
をつくる場合,+なのか-なのか迷うときがあります。このときは,次のように考えましょう。
まず,「○○○の燃焼を表す熱化学記号方程式を書きなさい。」という時には,熱化学方程式の右辺の最後に
書く反応熱は必ず+になります。なぜならば,燃焼熱を表す場合,必ずものが燃えるのですから発熱するわ
けです。これは,中和熱を表す熱化学方程式の場合も同様で,中和熱は必ず発熱ですので+になります。
方程式によって+の場合があったり-の場合があったりするのは,生成熱や溶解熱を表すときです。いず
れも反応は発熱反応,吸熱反応の両方がありえます。
例えば,「○○○の生成熱は123kJ/molである。」と符号がなく表されているときには,+にして書きます。
-にしなければならない場合には,「○○○の生成熱は-123kJ/molである。」とか,「○○○の溶解熱は
-123kJ/molである。」と負の符号が書かれているはずです。 エネルギー図との関係を考えてみましょう。
図1を見ると,(C+D)が反応物であり,(A+B)が生成物であることが矢印の向きでわかります。そして,
(A+B)のエネルギーのほうが(C+D)より P〔kJ〕だけエネルギーが多いことを示しています。つまり,(A+
B)のエネルギーからP〔kJ〕を引くと(C+D)に等しくなるわけです。ということは,この熱化学方程式の符号
は-であることがわかります。では,矢印の向きが逆だとどうでしょうか。
今度は,図2を見ると,(A+B)が反応物であり,(C+D)が生成物になります。
また,(C+D)のエネルギーにP〔kJ〕足すと(A+B)に等しくなるので,反応熱の符号は+になります。
まとめると,エネルギー図中の矢印が下から上に向かっている場合,反応熱の符号は-,上から下に向
かっている場合,反応熱の符号は+と覚えておきましょう。
【学習アドバイス】
反応熱は発熱反応と吸熱反応のどちらかを表しています。起こっている現象の意味を考えると,発熱反応だ
けを考えればよい場合と,発熱反応と吸熱反応の両方を考えておかなければならない場合がありますので,
問題文を確認して解いていくようにしましょう。
今後も『進研ゼミ高校講座』を使って,得点を伸ばしていってくださいね。