【否定形】「部分否定」と「全部否定」の見分け方
否定の形に「部分否定」と「全部否定」とがありますが、いつも見分け方がわからず、迷ってしまいます。
よい見分け方を教えてください。
進研ゼミからの回答
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
否定の形に「部分否定」と「全部否定」とがありますが、いつも見分け方がわからず、迷ってしまいます。よい見分け方を教えてください。
【解説】
●「部分否定」「全部否定」とは?
「句形や意味を丸暗記しなくちゃ!」と思うかもしれませんが、まずは、「部分否定」「全部否定」とはそれぞれどのようなものかを考えてみましょう。
下の例文を読んでみてください。
ア「すべては知らない」(=知っている部分もある)→ 部分否定
イ「すべて知らない」 (=まったく知らない)→ 全部否定
アとイの二つの文を比べると、一見同じように見えて、一部の表現の違い(「すべては」と「すべて」)によって、それらが指している内容に大きな違いがあることがわかります。
アの方は、「全部知っているわけではない=知っていることもあるし、知らないこともある」というニュアンスであるのに対し、イでは「全部知らない=まったく知っていることがない」という強い否定の意味合いがありますね。
アのように、「すべて」という副詞の示す内容を部分的に否定するのが部分否定、イのように、副詞の示す内容を全面的に否定するのが全部否定です。
「部分否定」と「全部否定」の違いは、下図のように視覚的に示すと、その指している範囲の違いも明確です。
このように、部分否定と全部否定が意味する内容の違いを理解したうえで、どのように見分けるかを押さえましょう。
●部分否定と全部否定の見分け方は?
では実際の漢文の中で部分否定と全部否定を見分けるには、どうすればいいのでしょうか?部分否定と全部否定は、否定語「不」と副詞「常・尽・必・倶」などの組み合わせで表現されますが、その位置関係の違いで見分けることができます。
具体的には、次のような違いがあります。
・「不+副詞」=部分否定
・「副詞+不」=全部否定
例えば、
・「不必A」(「必ズシモA(セ)ず」)
=部分否定(「必ずしもA(する)とは限らない」)
・「必不A」(「必ズA(セ)ず」)
=全部否定(「きっとA(し)ない」)
というように見分けることができるのです。
●句形と読みをセットで覚えておこう!
部分否定と全部否定では、句形のほかにも、副詞の読み方が異なります。上に挙げた例文では、「必」の読み方が、「必ズシモ」(部分否定)、「必ズ」(全部否定)と異なりますね。
「不必A」の「必」を「必ズシモ」と読めばよいことがわかると、書き下しが適切にできるだけでなく、意味もつかみやすくなります。ですから、句形とともに読みをあわせて覚えておくようにしましょう。
【アドバイス】
以上のように、部分否定と全部否定を正しく見分けるには、
・「不+副詞」=部分否定、「副詞+不」=全部否定という句形
・それぞれの句形をどのように読むか
を覚えておくと、うまくいきますよ。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。