【訓読・書き下し】置き字の働きがよくわかりません
「置き字」という、文章中に文字としてあるのに読まない字があると聞きましたが、何か特別な働きがあるのですか?
進研ゼミからの回答
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
「置き字」という、文章中に文字としてあるのに読まない字があると聞きましたが、何か特別な働きがあるのですか?
【解説】
漢文には、訓読するときには読まず、単に置いてあるように見える文字があります。
これが「置き字」です。
置き字は、訓読する際には読みませんが、単なる飾り文字などではなく、文の構造や文章の流れを構成するうえで重要な働きをしています。
ですから、漢文を正しく読み取るためには、主な置き字とその働きを理解しておくことが大切です。
主な置き字には「而」「焉」「矣」「於」「于」「乎」の6字があり、次のように、働きごとに3つに分けて整理することができます。
(1)「而」・・・句と句をつなぐ接続詞のような働きをする
文中に置かれ、前後の句を「順接」または「逆接」でつなぐ働きをします。「順接」と「逆接」のどちらの働きをするかは、「而」の直前に読む語の送りがなによって見分けることができます。
・順接:「而」の直前に読む語の送りがなが「~テ、~シテ」
・逆接:「而」の直前に読む語の送りがなが「~ドモ」
(2)「焉」「矣」・・・文末で意味を添える終助詞のような働きをする
文末に置かれ、断定・感嘆などを表し、語調を強める働きをします。
(3)「於」「于」「乎」・・・ほかの語との関係を示す前置詞のような働きをする
文中に置かれ、次のような3つの働きがあります。どの働きをするかは、直後の語についた送りがななどから判断することができます。
・場所・対象・状況などを示す・・・直後の語の送りがなが「ヲ」「ニ」
・動作の起点を示す・・・直後の語の送りがなが「ヨリ」
・比較を示す・・・直後の語の送りがなが「ヨリ〔モ〕」で、述語に当たる語が形容詞・形容動詞
なお、置き字は訓読されないので、返り点や送りがなはつきません。漢文中の置き字を 見分けるときには、送りがなや返り点がついていないということに着目するのも1つの ポイントとなります。
【アドバイス】
このように主な置き字とその働きをセットで覚えておけば、置き字についての設問に答えられることはもちろん、漢文の読解においても大いに役立ちますよ。漢文の読解力をつけるためにも、漢文を読むとき、「ここでの置き字の役割は何か」を意識する習慣をつけておくとよいでしょう。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。