【暗記術・古文】助動詞の識別のポイントを教えてください
助動詞には色々な種類がありますが、特に同じ形になる助動詞をどう訳すかで混乱します。識別のポイントを教えてください。
進研ゼミからの回答
【質問の確認】
こんにちは。
いただいた質問についてお答えしていきましょう。
「助動詞には色々な種類がありますが、特に同じ形になる助動詞をどう訳すかで混乱します。識別のポイントを教えてください。」
というご質問ですね。
【解説】
たしかに、助動詞は数も多いので、覚えるのも大変ですよね。
また、活用すると同じ形の語になる助動詞は、正しく見分けないと現代語訳が変わってしまいますので、「識別」できることが大切になりますね。
ポイントは「接続ルール」と「活用形」を知ることです。
以下に「ぬ」という形になる助動詞を例にポイントを解説しますので、参考にしてみてください。
〔例〕「ぬ」という形になる助動詞
《例文》①「目に見えぬ鬼神をも・・・」→打消の助動詞「ず」の連体形
《例文》②「日も暮れぬ。」→完了の助動詞「ぬ」の終止形
●接続ルール
打消の「ず」は活用形の未然形に接続し、完了の「ぬ」は連用形に接続します。
したがって、「ぬ」の上の語が未然形であれば打消の助動詞、連用形であれば完了の助動詞と判断できます。
↓
①「ぬ」の上の語は「見え」→「見え」はヤ行下二段活用動詞「見ゆ」の未然形か連用形。
②「ぬ」の上の語は「暮れ」→「暮れ」はラ行下二段活用動詞「暮る」の未然形か連用形。
ここではどちらも未然形か連用形なので、どちらか決めきれませんね。
そんなときには活用形で考えます。
●活用形
打消の助動詞「ず」は、「ず・ず・ず・ぬ・ね・○」と活用します。
「ず」には正活用の他に補助活用があり、下に助動詞が続くときには
「ざら・ざり・○・ざる・ざれ・ざれ」と活用します。
完了の助動詞「ぬ」は、「な・に・ぬ・ぬる・ぬれ・ね」と活用します。
したがって、「ぬ」が連体形であれば打消の助動詞、終止形であれば完了の助動詞と判断できます。
↓
①「ぬ」は、体言「鬼神」が続くことから連体形→打消の助動詞「ず」の連体形。
②「ぬ」は、文末にあるので終止形→完了の助動詞「ぬ」の終止形。
以上を踏まえ、「ぬ」は以下のように訳すことができます。
① は、「目に見えない鬼神をも・・・」
② は、「日も暮れてしまった」
【アドバイス】
実際の文章の中で、「これはあの助動詞の○○形だ」ということが分からないと、品詞分解したり、 正確な現代語訳をすることができません。助動詞をひととおり覚えたら、識別問題に取り組んでみましょう。数多く取り組む中で、知識を定着させていくことができますよ。