【恐慌の時代】連続して起こった恐慌の内容とその原因が整理できません
第一次世界大戦後に恐慌がたくさん出てきますが,どんな順番でどのような恐慌が起こったのか,また原因は何だったのか,ややこしくて理解できません。何かよい整理方法はないでしょうか?
進研ゼミからの回答
こんにちは。
それではさっそく,質問について回答させていただきます。
【質問の確認】
第一次世界大戦後に恐慌がたくさん出てきますが,どんな順番でどのような恐慌が起こったのか,また原因は何だったのか,ややこしくて理解できません。何かよい整理方法はないでしょうか?
【解説】
恐慌とは不況が深刻化した経済破綻の状態であることをいいます。
第一次世界大戦中の好景気(大戦景気)の後,日本は長い恐慌の時代をむかえることになりました。この恐慌の時代については,「4つの恐慌」を軸に順番・原因・政府の対応などをしっかり押さえていくことが大切です。
戦後恐慌
原因:第一次世界大戦中に撤退していたヨーロッパ諸国がアジア市場に復帰
大戦景気での増産体制により過剰生産となる
経過:輸出用の生糸・綿糸の価格が暴落
1919(大正8)年から貿易は輸入超過に転じた
対応:日本銀行が多額の救済融資をおこなう
震災恐慌
原因:1923(大正12)年の関東大震災で東京が大きな被害を受け,
日本経済が麻痺状態に陥った
経過:震災のため,銀行が持っていた手形が大量に決済不能となった
対応:日本銀行の特別融資で一時をしのぐが不況は慢性化
金融恐慌
原因:戦後恐慌・震災恐慌による経済界の打撃
震災手形の処理の不手際
経過:震災手形の処理を巡る,蔵相片岡直温の失言で取付け騒ぎが発生
鈴木商店に対する不良債権をかかえた台湾銀行が破綻の危機に
対応:第1次若槻礼次郎内閣が緊急勅令で台湾銀行救済を試みたが
枢密院の反対で総辞職
田中義一内閣が3週間のモラトリアム(支払猶予令)を発する
日本銀行からの巨額の救済融資
昭和恐慌
原因:旧平価による金輸出解禁
世界恐慌
緊縮財政
経過:物価の下落
輸出の減少
正貨(金)の流出
対応:高橋是清蔵相による金輸出再禁止と積極財政
【アドバイス】
ここであげた恐慌は定期テストでも頻出の内容です。まずは,この「4つの恐慌」の名称,おこった順番を押さえ,それから原因と政府の対応をあわせて確認していけば,「恐慌」に関する出題には対応できるようになるはずです。