【軍部の台頭と太平洋戦争】軍部大臣現役武官制ってどんな制度なんですか?
広田弘毅内閣のところで「軍部大臣現役武官制復活」とありました。なぜこの制度があることで,「内閣への軍部の影響力を拡大」できたりとか「政党の影響力が軍部におよぶのを防ぐ」ことができたりするのか,いまいちよくわかりません。
進研ゼミからの回答
こんにちは。
それではさっそく,質問について回答させていただきます。
【質問の確認】
広田弘毅内閣のところで「軍部大臣現役武官制復活」とありました。なぜこの制度があることで,「内閣への軍部の影響力を拡大」できたりとか「政党の影響力が軍部におよぶのを防ぐ」ことができたりするのか,いまいちよくわかりません。
【解説】
軍部大臣現役武官制は1900年に成立して,1913年に改正,そして広田弘毅内閣時の1936年に復活しています。ここでは軍部大臣現役武官制の内容と1900年成立と1913年改正の意義を簡単に見た後,1936年に復活した背景と意義を確認しましょう。
軍部大臣現役武官制とは
陸軍大臣・海軍大臣(まとめて軍部大臣)は,現役の大将・中将から任用するとした制度。
◆この制度のポイント
この制度により,軍部は自分たちの意見が内閣に受け入れられない場合に,軍部大臣を辞めさせたり,後任を出さなかったりすることで,内閣を総辞職に追い込むことができた。つまりこの制度が成立したことで軍部は内閣の成立や存続に関わることができるようになったので,自分たちの意向をより政治に反映できるようになった。
1900年 軍部大臣現役武官制成立
第2次山県有朋内閣が成立させた。軍部大臣現役武官制を導入することで,軍部に政党の影響力がおよぶのを防ごうとした。
≪制度の成立によって影響を受けた例≫
1912年 上原勇作陸軍大臣が辞任,陸軍が後任を出さなかったため,第2次西園寺公望内閣は崩壊。
1913年 軍部大臣現役武官制改正
第1次山本権兵衛内閣は,軍部大臣の資格として現役でなければならないとした規定を改正し,非現役でも大将・中将であればよいとした。この改正により軍部の内閣への影響力を弱めようとした。
1936年 軍部大臣現役武官制復活
二・二六事件の後,陸軍の政治的発言力が強まり,陸軍は広田弘毅内閣の組閣人事などにも介入していた。広田内閣は軍部の要求を受けて,軍部大臣現役武官制を復活させた。ここでいう「復活」とは軍部大臣は現役でなければいけないという規定の復活をさす。この復活により,内閣に対する軍部の発言力は一層強まった。
≪制度復活によって影響を受けた例 ≫
宇垣一成内閣の不成立,米内光政内閣の崩壊。
【アドバイス】
軍部が政治に対して影響力を強めていくことで,日本は徐々に戦争へ向かって行くことになります。軍部の台頭の経緯について,『進研ゼミ』の教材などを活用して学習を進めていきましょう。