【交通・通信,貿易】貿易摩擦について
日本の自動車工業について,貿易摩擦の激化で1980年代以降海外での現地生産化が進められたのはなぜですか?
なぜ貿易摩擦がおこると海外で生産するようになるのでしょうか。
進研ゼミからの回答
こんにちは。
いただいた質問について、回答させていただきます。
【質問内容】
日本の自動車工業について,貿易摩擦の激化で1980年代以降海外での現地生産化が進められたのはなぜですか? なぜ貿易摩擦がおこると海外で生産するようになるのでしょうか。
【質問への回答】
実際に当時おきていたことですが、日本の自動車がアメリカ合衆国で大量に売れて、アメリカの自動車工業が苦しい状況になり、アメリカの自動車工場の多くが閉鎖された場合を考えてみましょう。
そうすると、それまで自動車工場で働いていたアメリカ人が、たくさん失業してしまいます。
おおぜいの失業者が出てしまうのは、国家にとっての大問題であり、なんとか状況を改善しようとして、政府も大いに努力しなければならなくなります。
そこでアメリカ政府は、(できれば自由な貿易が望ましいとする建前をとっているにもかかわらず)日本の自動車メーカーに自主的に輸出を控えるよう要求したり、日本の自動車に高い関税をかけたりするなどして、なんとかアメリカの自動車が売れるようにしようと努めることになります。
そうしたことをされては、日本の自動車メーカーも困ることになります。
このような場合、日本の自動車メーカーにとって最も効果的な解決策は、アメリカ側の不満を解消させることです。その解決策が、以下に述べるような「現地生産」の推進なのです。
ここでの「現地生産」とは、「日本の自動車メーカーが、アメリカで売る自動車を製造するために、アメリカに新工場をつくること」であり、同時に、現地のアメリカ人を雇って、その新工場で働けるようにすることも意味します。
そうした「現地生産」をおこなえば、アメリカの失業者は、日本の自動車メーカーの新工場で働けるようになり、失業問題が解消することになるわけです。
【学習アドバイス】
自分が将来、ある会社に勤めていたところ、外国企業との競争に敗れて会社が倒産し失業した場合を想像してみると、少しは理解しやすくなるかもしれません。
失業後、新しい職を探そうとしても、なかなか見つからないときに、近くに同じ業種の外国企業が新工場を建設し、現地の従業員を募集したら、どうでしょうか。外国企業の新工場で働いてみようと考えても、ごく自然だとは思わないでしょうか?
それではこれで回答を終わります。これからも、「進研ゼミ高校講座」への取り組みを続けながら、知識を正確にしていきましょう。