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化学 定期テスト対策【芳香族化合物の性質】芳香族化合物の分離

【芳香族化合物の性質】芳香族化合物の分離

芳香族化合物の混合溶液から化合物を分離していく方法を教えてください。

進研ゼミからの回答

こんにちは。いただいた質問について回答します。

【質問内容】
【問題】
安息香酸,アニリン,フェノール,ニトロベンゼンの4つの芳香族化合物を混合したジエチルエーテル溶液がある。この混合溶液から,各芳香族化合物を分離するにはどのような手順で行えばよいか。

【芳香族化合物の性質】芳香族化合物の分離

という問題について,芳香族化合物を系統的に分離していく方法についてのご質問ですね。

【質問への回答】
芳香族化合物の混合物を分離していく場合の主なポイントは
★その化合物自体が酸性を示すのか,中性を示すのか,それとも塩基性を示すのか?
★酸性の場合の酸の強さは?
の2つです。これらについてよく覚えておくことが大切です。

上記の混合溶液は,次のように分離していきます。

(1)まず,混合溶液に塩酸を加える。
塩基性であるアニリンが塩酸と反応し,アニリン塩酸塩となって水層に溶解するので,分液ろうとを用いてこれを混合溶液(油層)と分ける。

(2)つぎに,(1)の油層に,炭酸水素ナトリウム水溶液を加える。
(1)で加えた塩酸が中和されるとともに,炭酸より酸性が弱いフェノールは変化せず,炭酸より強い安息香酸が,安息香酸ナトリウムとして水層に溶解する。分液ろうとを用いてこれを油層と分ける。

(3)さらに,(2)で生じた油層に,水酸化ナトリウム水溶液を加える。
フェノールがナトリウムフェノキシドとして溶解し,水層に移るので,これを分液ろうとを用いて油層と分ける。 油層には,ニトロベンゼンだけが残る。

(4)油層から沸点の差を利用してジエチルエーテルを除去すれば,ニトロベンゼンが得られる。

以上により,有機化合物はすべて分離される。

【学習アドバイス】
ここで用いた芳香族化合物は
●酸性=安息香酸およびフェノール,塩基性=アニリン,中性=ニトロベンゼン
●酸の強さ:塩酸>安息香酸(カルボン酸)>ニ酸化炭素水溶液(炭酸)>フェノール
という性質をもっているので,これらの性質を利用して分離したことになります。
有機化合物を合成する場合,目的の物質以外に,未反応の物質や副反応による別の物質が同時に生成することが多くあります。目的の物質を取り出すには,上記のような手順で分離していく必要があります。そのと きの基本方針は,
■塩をつくって水に溶けるようにする
■生成した塩に強酸・強塩基を加えると弱酸が追い出され,弱酸・弱塩基が遊離する
の2点となります。このことをしっかり覚えておきましょう。

以上で回答を終わります。
今後も『進研ゼミ高校講座』を使って,得点を伸ばしていってくださいね。

  • ここで紹介している内容は2017年3月時点の情報です。ご紹介している内容・名称等は変わることがあります。

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