【地球の概観と構造】地球の形について
緯度差1度あたりの経線の長さを測定することにより,なぜ,地球の形が赤道方向に膨らんだ回転楕円体であることがわかるのか。
進研ゼミからの回答
こんにちは。 さっそく質問に回答しますね。
【質問内容】
【問題】
地球の緯度差1°あたりの経線(子午線)の長さは,低緯度と高緯度でどちらが長いか。
という問題について,
【解答解説】
地球の形が赤道方面に膨らんだ回転楕円体であることは,緯度差1°あたりの経線の長さを測定することにより確認された。
と解説にあるが,緯度差1度あたりの経線の長さを測定することにより,なぜ地球の形が赤道方向に膨らんだ回転楕円体であることがわかるのか,というご質問ですね。
【質問への回答】
地球は完全な球形ではなく,赤道方向にわずかに膨らんだ回転楕円体に近い形をしています。
このような場合の緯度の定義について解説します。
地球を球形と考えると,ある地点の緯度は,この地点と地球の中心を結んだ線が赤道面となす角と定義されます。これを「地心緯度」といいます。
これに対して,地球が回転楕円体だと考えると,ある地点の緯度は,その地点の地表面に対する垂線と赤道面のなす角と定義されます。これを「天文緯度」といいます。
この問題では,回転楕円体である地球の緯度差1°を考えていますから,「天文緯度」を用います。
上の図では同じ経度上に存在する北極と北緯89°の地点間の距離 (x) と,同じ経度上に存在する赤道と北緯1°の地点間の距離 (y)を比較して,結論を導いています。
緯度差1°の地点間の距離(緯度差1°あたりの経線の長さ)が長い方がつぶれた楕円体と考えられます。
つぶれている方は,より半径が大きい円の一部なので,長くなるわけです。
x > y から、地球は両極がつぶれて,赤道方向に膨らんだ楕円体であることがわかります。
【学習アドバイス】
地球が赤道方向に膨らんだ回転楕円体であることはニュートンによって理論的に求められていました。
その後,緯度差1°に対する子午線の弧の長さを測定し,高緯度ほど子午線の弧の長さが長いことがわかり,ニュートンの説が正しいことが証明されました。
地学の場合,測定の対象が地球レベルであったりするので,理論的に導かれた結論が,後に実験的に証明されるという場合がほとんどです。
したがって,どのようにして証明されたのかを理解することが重要です。
今後も『進研ゼミ高校講座』を使って,得点を伸ばしていってくださいね。