【句法】覚えるべき「句法」がたくさんありすぎて困っています
覚えるべき「句法」がたくさんありすぎて困っています。
「否定」や「疑問」のように、漢文を読むに当たってどうしても知っていないといけない「句法」ってなんですか?
進研ゼミからの回答
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
覚えるべき「句法」がたくさんありすぎて困っています。
「否定」や「疑問」のように、漢文を読むに当たってどうしても知っていないといけない「句法」ってなんですか?
【解説】
「漢文読解のうえで習得が必須な句法」とは、「文章の流れを判断するうえでどうしても必要な文法知識」と言い換えることができるでしょう。
このようなものとしては、基本的な訓読の仕方や「再読文字」のほかに、「否定」「使役」「受身」「疑問・反語」があります。
これらの句法を早い段階で確実に身につけておけば、文法・句法の問題はもちろん、文章全体の読解についても話の流れを素早くとらえられるようになり、内容の理解もぐっと正確にできるようになりますよ。
●「否定形」〈~(し)ない〉
否定形とは、ある動作・状態・事物などを打ち消す句法。
否定形の基本である単純な否定の形を表にすると、次のようになります。
句形 | 読み | 訳し方 |
---|---|---|
不~ | ~(セ)ず | ~(し)ない |
非~ | ~(ニ)あらズ | ~ではない |
無~ | ~なシ | ~はない |
そのほかの否定形としては、
・ 禁止形
・ 二重否定の形
・ 部分否定・全部否定の形 などがあります。
●「使役形」〈―に~(さ)せる〉
使役形とは、ある人(もの)が、ほかの人(もの)に命じてある動作をさせることを表す句法。
使役を表す「しム」と読む語(使・令・教など)を用いる形が多いですが、使役を暗示する語を用いる形、使役を表す語がなく文脈から使役と判断する場合もあります。
●「受身形」〈~(さ)れる〉
受身形とは、ほかからある動作・作用を受けることを表す句法。
受身を表す「らル・る」と読む語(見・被・為など)を用いる形が多いですが、置き字を用いる形、受身を暗示する語を用いる形、受身を表す語がなく文脈から判断する場合もあります。
●「疑問形・反語形」(どうして~か・どうして~だろうか、いや、~ない)
疑問形とは、問いかけて、答えを求める句法を言い、
反語形とは、「問いかける形をとるが、実はその反対の内容を強調する」という意味を表す句法を言います。
基本は疑問詞(何・誰・安・何為など多数)を用いた形で、次の表のようになります。
句形 | 文末の結び方 | 訳し方 | 用法 |
---|---|---|---|
何ゾ~ | 連体形 | どうして~か | 疑問形 |
未然形+ン〔ヤ〕 | どうして~だろうか、いや、~ない | 反語形 |
疑問形と反語形は、上の表のように、訳し方だけでなく文末の結び方も異なります。
また、形から疑問か反語かを区別できないときは、文脈から判断しなければならないなど、その扱いは複雑で多岐にわたるので、学習するときはじっくりと取り組む覚悟が必要です。
以上、漢文によく出てくる句法について、ごく簡単に説明しましたが、漢文の文章の中では、句形が少し変わってくる場合もあります。
そういったことにも対応できるようになるためには、まず「否定」「使役」「受身」「疑問・反語」という句法について基礎的な形の読みと意味を、教科書や例文を通して、確実なものにしていきましょう。
【アドバイス】
大切なことは、これらのどの句法に対しても苦手意識を持たないことです。漢文は目で追って覚えようとしても、なかなか身につきません。 例えば、声を出して読みながら覚えるようにすると、漢文にも早く慣れることができます。
このように、ごく基礎的なものからでも、これらの句法をまんべんなく着実にマスターしていけば、漢文の中でもすぐに句法が見つけられますし、多少違った形に出合っても対応できるようになり、きっと漢文に対する理解そのものが深まっていくに違いありませんよ。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。