次世代を担う子どもたちの安全を守るために【前編】

2005年、学校への侵入者による事件や、下校時に子どもが狙われた事件が続発するなど、子どもの安全への関心が、今までになく高まってきています。
そこで今回は、国として、子どもの安全に対してどう取り組んでいるのか、文部科学省スポーツ・青少年局 学校健康教育課の井上惠嗣課長補佐にお話を伺いました。

子どもの安全は国にとっても重要な課題

文部科学省が子どもの安全に取り組んでいるのは、旧文部省の当時からであり、その活動は長きにわたります。2002年度からは、学校安全と心のケアの充実に総合的に取り組む「子ども安心プロジェクト」を推進。2006年度の同プロジェクトは、2005年度の2.5倍にあたる約26億円の予算を組み、子どもの安全を守るための取り組みを一層進めていくとのことです。

「子ども安心プロジェクト」予算
2005年度 10億2045万3千円 (2006年度予定額 25億9226万2千円)
事業内容

  1. 子どもの安全に関する情報の効果的な共有システムに関する調査研究 (新規事業 2006年度2億799万円(予定))
  2. 地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業 (2005年度7億5千万円、2006年度14億441万円(予定))
  3. 防犯教室の推進 (2005年度4022万4千円、2006年度4022万4千円(予定))
  4. 学校安全推進フォーラムの開催 (2005年度324万1千円、2006年度324万1千円(予定))
  5. PTSD等に対する心のケアパンフレットの作成 (2005年度1606万円、2006年度1502万円(予定))
  6. 学校・地域保健連携推進事業 (2005年度1億6865万3千円、2006年度1億5178万8千円(予定))
  7. 学校施設の安全対策推進事業 (2005年度1617万8千円、2006年度1631万3千円(予定))
  8. 子ども待機スペース交流活動推進事業(新規事業 2006年度7億327万6千円(予定))
  9. 地域で子どもを見守る全国ネットワークシステムの構築(新規事業 2006年度5000万円(予定))
  10. 今年度限りの経費(防犯教室実践実例集の作成) (2005年度2609万7千円)

一口に「学校安全」と言っても、その内容は「生活安全(防犯を含む)」、「交通安全」「災害安全(防災)」など、多岐にわたっています。

「将来を担う子どもたちの安全確保は、国にとっても極めて重要な課題です。ところが10数年前までは、安全というと交通安全や学校での事故防止対策などが、大きなウエートを占めていたのですが、ここ数年は防犯の側面が大きくなっています。その防犯も、子どもを取り巻く外部環境を安全に保つための活動である『安全管理』と、子どもがさまざまな危険を制御して安全に行動することを目指す活動である『安全教育』の分野から成っており、それぞれについての対策が講じられ、具体的な施策が出されています」(井上さん)


学校への不審者侵入時の危機管理について

2001年の大阪・池田小学校の事件は、学校の安全や防犯について、行政や関係者が意識を新たにした事件となりました。それをうけて文部科学省は2002年12月、安全や防犯にどう取り組めばよいかという指導資料『学校への不審者侵入時の危機管理マニュアル』を作成し、全学校へ配布しています。このマニュアルは不審者への緊急対応の具体例のほか、日頃からの危機管理体制の整備について、また安全マップの作成などの項目をもうけ、不審者対策について細かく注意点をあげています。さらに、このマニュアルを元に、学校の規模や校舎の設備や配置、学校周辺の環境などをふまえた上で、学校独自のマニュアルを作成するよう促しています。


とくに、このマニュアル作成の作業は、その過程にも意味があると言います。

「例えば、役割分担を決めるにしても、話し合いやシミュレーションが必要になるからです。その話し合い自体も、有意義な取り組みであり、より学校安全への意識が高まると考えます。また、危険箇所などを書き込んで作る『安全マップ』の作成もとても有効です。学級活動や総合学習の時間などに、実際に通学路を歩くなどして、作成するよう働きかけをしていますが、登下校のルートのどこが注意点かを、改めて確認しあえるよい機会になるはずです」(井上さん)


さらなる取り組みについて

こうしたマニュアルが配布されたにも関わらず、2005年2月には再び学校への不審者による事件が発生してしまいました。これを受け、文部科学省は「安全・安心な学校づくりのための文部科学省プロジェクトチーム」を発足、さらに同年3月31日に「学校安全のための方策の再点検等について〜安全・安心な学校づくりのための文部科学省プロジェクトチーム第一次報告〜」を取りまとめました。このように、事件後はなるべく早い段階で、改めて、注意喚起を行うよう努めている模様です。

こうしたソフト面にプラスして、ハード面も防犯の大切な要素であり、「学校施設整備指針」における防犯対策関係規定の充実を図ったり、低学年教室の1階からの配置換え、門、フェンスの設置・改修、それに伴う防犯カメラや通報設備の設置などについて、国庫補助の対象とするとともに、安全対策費について交付税措置も行っています。とはいえ、こうしたハード面だけを強化すれば安心ということではなく、それをどう有効に使うかなど、やはりソフト面とハード面をあわせて総合的に取り組んでいくことが必要です。

さらに、文部科学省と警察庁では日ごろから連絡を密にし、さまざまな面で連携を進めているとのこと。2005年度においては、教育委員会や学校と地元の警察との連携のもと、地域のボランティアが学校や公民館等を拠点として、学校内外の安全体制の確保のためのプロジェクトを実施する方向で、両省庁が合意しています。さらに、警察庁の「地域安全安心ステーション事業」と、文部科学省の「地域ぐるみの学校安全体制整備推進事業」の連携も行っており、2006年度、モデル地域として9つの地域を選出し、両方の事業を併せて進めています。


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文部科学省ホームページより


※次回も引き続き、「登下校の安全について」等、文部科学省スポーツ・青少年局 学校健康教育課の井上惠嗣課長補佐にお話を伺います。

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