“我が家流”おこづかい、工夫も苦労も千差万別

期間 2005/12/7〜2005/12/9 有効回答数753人

2005年もいよいよ残りわずかとなりました。何かと出費がかさむ時期ですが、ここで改めて「子ども」と「お金」、とくにおこづかいの渡しかたについて考えてみませんか? 今回は前編として、子どもとお金に関するアンケートの結果(数値)をまとめました。いくら? どのように? どんな時に? 保護者の皆さんは子どもへのおこづかいの扱いをどのように考えているのでしょうか。

おこづかい「あげている」が5割強、うち7割が"月ぎめ"制

2005年12月に文部科学省が発表した「子どもの学習費調査」(平成16年度)によると、幼稚園から高等学校の14年間にかかる学習費(*)の総額は、すべて公立の場合で531万3千円、小学校以外すべて私立学校に通った場合は982万円だそうです。もちろん、この金額にはお菓子やおもちゃなどのいわゆる「おこづかい」は含まれません。こうした金額を目の当たりにすると、毎月数百〜数千円といえども、長い目で見ればおこづかいの総額もばかになりませんね。だとすれば、子どもが日々の生活のなかでおこづかいを通して得られる"プライスレス"なもの、つまり大人になっても通用する金銭感覚や物を大切にする心などもきちんと身につけてほしいものです。

*「学習費」…授業料、学用品、寄付金、修学旅行費、通学費などの「学校教育費」、
         「学校給食費」、学習塾、習い事などの「学校外活動費」の合計。


さて、まずはおこづかいの有無に関する「教育発見隊」アンケートの結果です。子どもにおこづかいを「あげている」と回答した方は全体の54.1%と5割を超え、「あげていない」の45.9%を上回りました【図1】。とくに小学校低学年ぐらいまでの子どもをお持ちの方は「あげている」ケースは少ないようです。

※ 「おこづかい」と一口に言っても、「必要な時に必要な分だけ渡している場合は?」「お年玉は?」など、おこづかいの定義は人によってさまざまです。このため、今回の「教育発見隊」アンケートではあえて細かい決め事を作らず、単に「おこづかい」として質問項目を作成し、ご回答者のイメージどおりにお答えいただきました。ご協力くださった皆様、ありがとうございました。

次におこづかいを「あげている」と回答した方に対して、どのようなタイミングで渡しているかを尋ねたところ、最も多かったのは「1か月ごとにまとめて」で70.9%でした。「毎日」「毎週」などは少数でしたが、「決まっていない・不定期」の回答は16.2%でした。
 
【図1 おこづかいをあげているか → おこづかいをあげるタイミング】


いただいたフリーアンサーを見ると、おこづかいをあげるタイミングが「決まっていない・不定期」の方の場合は、お手伝いをしたら10〜100円程度をあげる、といった回答が目立ちました。また同じお手伝いでも、「ごほうびとして」「感謝の意味で」「労働の対価として」など、お金を渡すことの意味づけが少しずつ異なっているようです。
このほか、お手伝い以外でどのような時にお金を渡すかについて、フリーアンサーの一部を紹介します。


  • 週末に"百問1円テスト(百円満点)"を実施。 (小3)
  • 祖父母にお金をもらった時に、その一部をあげる。残りは貯金。(小3)
  • 友達同士で出かける時やほしいものがある時に、必要に応じて。(小6)
  • 通学定期を購入する際やお弁当を作れなかった時に渡す昼代のおつりなど。(中学生)

※カッコ内は子どもの学年。以下同じ

では、このように渡しているおこづかいの金額を1か月単位で見た場合、いくらになるのでしょうか? 結果は下の【図2】のとおりです。「251〜500円」と「501〜1,000円」がそれぞれ3分の1ずつを占め、残りは251〜1,000円以外の金額でした。単純に平均すると、小学生631円、中学生1,521円となっています。ただし、おこづかいの金額は学年(年齢)によって格差がありますから、この平均値はあくまでも参考程度にとどめていただく方がよいかもしれません。なお、詳しくは次回(後編)とり上げたいと思います。

【図2 おこづかいの月額】    ※「0円」は除く


子どもの "自腹"はまんが、趣味の品々

ところで、普段ものを買う時にお金を払うのは誰でしょうか。【図3】にある14種類のものについて、それぞれ主に誰が買うのかを伺いました。「まんが」(51.7%)や「その他子どもの趣味のもの」(38.8%)は子ども自身が(おこづかいで)買う割合が高く、逆に保護者が買う割合が高いものは「参考書・ドリル」(97.1%)、「遊園地・映画などの代金」(94.8%)などでした。全体的には、高額な品物や学習上の必需品は保護者が購入して、まんが、ゲームなどの趣味のものは子ども自身で買うことが多いようです。

【図3 次のものを買うのは主に誰か】    ※「買わない」は除く


ここで、興味深いデータがあります。「おこづかい」をテーマに1981年に行ったベネッセの調査によると、たとえば腕時計を買うのは「子ども自身」と「保護者と子どもが半分ずつ(出し合う)」がそれぞれ37%を占め、保護者が買い与えるケースは25%にとどまっています。同様に、「電子ゲーム」は51%、「カメラ」は30%の子どもが「自分で買う」と回答しています。単純比較はできませんが、最近は必要なものや高価なものは保護者が判断してその都度買い与える、という傾向が強まっているのかもしれません。この傾向の善し悪しは別にしても、貯めたお金のなかから自分の裁量で大きな買い物をする機会が減ることで、「明確な目的を持ってこつこつと貯金する」「ほしいもののために、代わりの何かを我慢する」といった貴重な体験まで失われつつあるとすれば、非常に残念なことです。

さて、子どもが大きくなるにつれて交友関係や行動範囲が広がると、ほしいものが増えたり、おこづかいの金額に不満を抱くようになります。そこで、「おこづかいの値上げ相談」に対してどう対応するかを尋ねたところ、「だいたい無条件で金額をあげる」との回答は0%で、その他の選択肢については意見が分かれました。
 
【図4 子どもからおこづかいについて要望があった時の対応】


以下、具体的な方法について、いただいたフリーアンサーの一部を紹介します。


  • 金額=学年×100円でやってきて、中学からは学年×1,000円が基本。ただし、学校までが遠いので「通学途中でお金が必要」など理由を聞いて渡すようにしている。(中学生)
  • 「お金がない」と言ったら、子どもが「銀行へ行って出してくればいいじゃん」と言った。まだお金の価値がわからないようなので、理解度に合わせて増額していこうと思っています。(小学校入学前)
  • 「決まったおこづかいがほしい」と言われた時があるが、「いいけど、おこづかいをあげたら、スーパーでお菓子がほしい時や毎月買っている雑誌もその中でやりくりして買うんだよ。ママは買ってあげないよ」と言ったら(損得を)考え、「やっぱりいい…」と答えたことがあります。(小2)
  • 「おこづかい」という形ではなく、お手伝いをしたら、漢字のテストで百点を取ったら、という具合におこづかいを与えているので、無条件でおこづかいをあげたことはありません。(小5)
  • 「〇〇君は××円もらっているのに」と子どもから言われるが「うちはうち。うちのルールが守れないのなら出て行ってくれてもいい」ときっぱり断る。食べたい駄菓子やカード類などはお手伝いなどでお金を貯めさせて購入させている。(小5)

おこづかいに対する、保護者の皆さんと子どもとの接し方は十人十色のようです。次回【後編】は引き続き「教育発見隊」アンケートの結果を見ながら、子どものお金との関わり方のポイントについて、専門家がアドバイスします。なお、今年の「教育発見隊」アンケートの結果発表は今回が最後。次回は年が明けた1月上旬に更新予定です。ご期待ください!

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