陰山・藤原両校長対談「教育の現場から」
「百ます計算」で有名な陰山英男校長と[よのなか]科、地域本部などの試みで知られる藤原和博校長の講演の模様をお伝えします。司会をつとめるのは船曳建夫東大教授です。



「学力低下」が言われる今、子どもたちのために、私たち大人にできることは何なのかをこの講演を通じて考えてみませんか?
1)トークセッションの趣旨

私の大学、東京大学の学生は競争を勝ち抜いてきたはずの学生たちなのですが、「これが受験を勝ち抜いてきた日本のエリートなのか?」と思うことがある。小中学校の現場と現場を取り囲む環境について話し合っていきたい。(船曳建夫さん)
2)学力再生とは生きる力の再生

「学力再生」というのは「生きる力の再生」。まずは基本的生活習慣の確立、それから学校における読み書き計算の反復学習や能力トレーニング。そのゆるぎない基礎の上に立てば、その他もろもろの多様な学習も非常に豊かに展開できる。(陰山英男さん)
3)学力低下は授業数削減が原因か?

PISA調査で読解力が落ちたと大騒ぎしているが、実はここで調査している読解力とは、批判的に読み解き、自分の意見を形成し、それを人に表明し、人を動かせる力。従来の授業をいくら増やしても身に付く力ではない。授業数を減らしたことが学力低下の原因というのは全く根拠が無いのです。(藤原和博さん)
4)成熟社会に必要な教育とは?

教育というものを軸に、社会のありよう、日本の文化を根本的に考えなければならない段階に来ている。(陰山英男さん)
発展途上型社会と違って成熟社会は多様な夢を子どもたちに見せなければならない。そのためにはもっと多様な大人たちが教育に参加してくれないとうまく行かない。(藤原和博さん)
5)学校と保護者はどのような関係を築くべきか?

「教育はサービス業」という人がいるが、学校においてそれをあてはめることには問題が多い。(陰山英男さん)
僕らは子どものころ、地域社会から学んだ。今はその地域社会の機能が無い。地域社会で子どもたちが大人と多様に関わる・・・それだけで中学校の教育はかなり蘇ると思う。(藤原和博さん)
6)質疑応答

会場からの質問に対し、陰山英男さん、藤原和博さんが回答しました。
- 教科書内容削減で学力は落ちていると思う。公立と私立の格差が広がるのではないか?
- 一般の公立校はいろいろな価値観の親がいる。陰山先生のやっている「早寝早起き」は難しいのではないか?
- 総合学習は学校の先生もどうしていいかわからないようだ。力量のある先生でないと難しいのではないか?
7)トークセッションまとめ

批判じゃなくて反省すること。理屈を言うんじゃなくて動くこと。社会というものをお互い信頼しあうことによって成り立つように変えていくこと・・・そのひとつひとつの取り組み自体が、実は子どもたちを「教育」することなんだろうと思います。(陰山英男さん)
大人がもっと本を読めば、子どもも本を読むようになるはずです。なぜなら、学んでいる大人の姿こそが最高の教材だからです。それ以上の教材はないと私は思います。(藤原和博さん)
※2005年6月26日 岡山ベネッセコーポレーション本社にて
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