高温で反応速度が大きくなるのはなぜ?
温度が高くなるほど反応速度が大きくなる理由を教えてください。温度が高くなって,粒子の運動の速さが大きくなるからではないのですか?
進研ゼミからの回答
こんにちは。いただいた質問について回答します。
【質問内容】
【問題】
次の文章が正しければ○,誤りであれば×と答えよ。
温度を高くすると,エネルギーの大きな粒子の割合が増えるので,反応速度が大きくなる。
という問題について,反応速度が大きくなる理由が「エネルギーの大きな粒子の割合が増える」からだ,とい
うことについてのご質問ですね。
【質問への回答】
ー般に温度が10K上昇すると,反応速度は2~3倍になることが知られています。この理由を考える前に化
学反応の起こり方を振り返っておきましょう。
化学反応が起こるには,反応物の粒子どうしが衝突し,なおかつ活性化エネルギーより大きな運動エネルギー
をもつことが必要です。
まず衝突回数に注目してみましょう。反応物の濃度を大きくすると衝突回数が増えるので反応速度は大きく
なることがわかります。
濃度をー定にして,温度を高くするとどうでしょうか。温度が高くなると運動する粒子の速度は上昇し,衝突
回数も増えることになります。このとき粒子の速度は,絶対温度の平方根に比例することが知られています。
この関係によれば,温度を27°C(300K)から37°C(310K)に上げると反応速度は,
となり,わずか1.6%程度しか上昇していません。したがって,温度上昇は粒子が運動する速度にほとんど
影響しないことがわかります。
次に粒子の運動エネルギーについて考えてみましょう。温度を高くすると,粒子の運動エネルギーの分布は
次のように変化します。
高温になると,活性化エネルギーよりも大きな運動エネルギーをもつ分子の割合が飛躍的に増加します。し
たがって,高温ほど反応速度が大きくなるのは,反応が起こるために必要なエネルギーをもつ分子が増える
ためといえます。
【学習アドバイス】
反応の速さを変える条件は,濃度,温度,触媒などがあります。それぞれについて,なぜ反応の速さが変わ
るのかを押さえておきましょう。
今後も『進研ゼミ高校講座』を使って,得点を伸ばしていってくださいね。