【現代文】小説の読み方
小説の読解が中学の頃から苦手です。
高校では、中学よりもますます難しくなりそうですが、どのように勉強したらいいですか。
進研ゼミからの回答
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
小説の読解が中学の頃から苦手です。
高校では、中学よりもますます難しくなりそうですが、どうしたらいいですか。
【解説】
小説の読解方法についての質問ですね。
小説が学校の定期テストなどで出題されるときに問われるのは、
・主人公や登場人物の心情(その時の主人公はどんな気持ちだったか。)
・心情の理由(なぜ主人公はそういう気持ちになったのか。)
の2点が主なものです。
小説の読解が苦手な人は、この2点について、
・「他人の心情やその理由なんて、『うれしい』とかはっきりと書かれてない場合はわからない」
・「心情なんて、どんなふうにでも読み取れるんじゃないの?」
などと思っているのではないでしょうか。
しかし、設問として問われている以上、
“心情は書かれていない場合はわからないもの”“心情はどんなふうにでも読み取れるもの”ではなく、根拠を持って、導き出すことができるもののはずです。
具体的にどういった点に気をつければ、正解を導くことができるのかですが、以下の3点に気をつけることがポイントになります。
1、場面設定を整理する
2、登場人物の心情を反映した言動や描写に着目する
3、その心情に至る変化に着目する
では、この3点を把握することの重要性を具体的に見てみましょう。
1、場面設定を整理する
例えば、「外に遊びに行きたい」というセリフがあったとして、病気のときにベッドで言うのと、難しい授業を受けているときに言うのとでは、その言葉に込められた心情はかなり違います。
このように、「いつ」「どこで」「だれが」「どうした」などをしっかりと把握することが心情を把握することに必要な要素になります。
2、登場人物の心情を反映した言動や描写に着目する
例えば、次のA、B、Cの文章を見てください。
A 「花子はありがとうと言い、太郎の手を握った。」
B 「花子はありがとうと言いつつ、目をそらした。」
C 「花子はありがとうと言った。太郎との間には冷たい風が流れた。」
3つの文にはどれも「ありがとう」のセリフがありますが、B、Cは単純に「感謝している」とは言えないことがわかると思います。
このように、登場人物の心情は、直接的な描写だけでなく、「動作に表れたもの」「情景描写」などにも着目し、それぞれの表現が具体的にどういった心情を表しているのかを注意することが必要になります。
3、その心情に至る変化に着目する
例えば、「太郎が、花子を責めた。花子は泣いた。」という文があったとして、すぐに“太郎の言葉に、花子が傷ついた。”と判断してはいけません。
花子がその発言に至るまでにどんな言動をしていたかを整理することが大切です。
それまでの状況で「花子は自分が失敗しそうな予感はしていたが、何も行動していなかった。」とあったら、“花子は自分が情けなくて泣いた。”可能性もあるわけです。
このように、登場人物の発言そのものにとらわれることなく、前後の言動や出来事にも注意することが必要になります。
以上の3点は、すべて、傍線部とその付近だけを読んで心情を決めつけてはいけない、という点で共通しています。これらの3点に気をつけながら、正解を導き出すことを心がけましょう。そうすることで小説の読解に対する苦手意識がなくなっていくはずです。
【アドバイス】
小説においても、感覚で読み解いていくのではなく、文章中に根拠をもちながら解答を導き出すことが大切です。上記にあげた3点のポイントに注意しながら読み進めていく習慣をつけ、的確に正解を導けるようになりましょう。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。