【助動詞】「る」「らる」の意味が見分けられない
助動詞の「る」「らる」には、受身・可能・自発・尊敬の4つの意味がありますが、その見分け方がわかりません。何かよい方法があれば教えてください。
進研ゼミからの回答
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
助動詞の「る」「らる」には、受身・可能・自発・尊敬の4つの意味がありますが、その見分け方がわかりません。何かよい方法があれば教えてください。
【解説】
「る」「らる」の4つの意味の特徴をつかめば、意味の見分け方は簡単にできるようになるでしょう。
助動詞「る」「らる」には「受身」「可能」「自発」「尊敬」の4つの文法的意味があります。
以下に説明するように、それぞれが文中でどういう役割を果たしているのかをその特徴とともに押さえれば、意味の見分け方はもちろん、訳し方も簡単にわかるようになりますよ。
【受身】訳し方:~れる・~られる
主語に当たる人や物の意志に関係なく、他者から何かをされてしまうことを「受身」といいます。
受身の「る」「らる」は、前に「~に」という受身の動作の主体を伴うことが多いのが特徴です。※1
(例)人に憎まる。 〈=人に憎まれる。〉
※1 ただし、文脈上「~に」という受身の動作の主体を表す語が明らかな時は、省略される場合があります。
【可能】訳し方:~できる
「可能」の「る」「らる」は、後に打消の語や反語表現を伴って不可能の意味を表すのが一般的です。※2
(例)湯水飲まれず。 〈=湯水を飲むことができない。〉
※2 中世以降は単独で可能を表す用例も見られるようになります。
(例)冬はいかなる所にも住まる。〈=冬はどんな所でも住むことができる。〉
【自発】訳し方:自然と~れる・~ないではいられない
「自発」とは、特に心の中に強く意識することなく、ある動作をしたり、あることを思ったりすることをいいます。
「る」「らる」の前に心の動きに関係のある動詞「思ふ」「ながむ」「泣く」「しのぶ」などがくると、自発の意になることが多いので覚えておきましょう。
(例)都のみぞ思ひやらるる。 〈=都にばかり思いをはせないではいられない。〉
【尊敬】訳し方:お~になる・~なさる
文中の人間関係で、主語が身分の高い人物の時は、「る」「らる」は「尊敬」の意であることが多いです。
ただし、「れたまふ」「られたまふ」のように補助動詞「たまふ」が直後についているときは、「る」「らる」は尊敬の意ではないので注意しましょう。
(例)大臣、車に乗らる。
〈=大臣が、車にお乗りになる。〉
(身分の高い人)
上記をまとめると、
・前に「~に」がくれば受身
・後に「ず」など打消や反語表現がくれば可能
・前に「思ふ」「泣く」など心の動きに関係のある動詞がくれば自発
・主語が身分の高い人物の時は尊敬
となります。
ただし、受身でも「~に」が省略されている場合がありますし、主語が身分の高い人物でも尊敬にならない場合などがあります。ですから、「形」だけに頼って見分けるのではなく、文脈と照らし合わせて、その意味が適切かを判断することが大切ですよ。
【アドバイス】
助動詞の「る」「らる」はよく出てくる助動詞です。教科書の予習の際も、きちんと意味を見分けながら訳すことを意識していきましょう。
そうすることで、自然と4つの意味の見分け方が身につくでしょう。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。