子どもの幸福度、生活満足度や読解力がカギ

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国連児童基金(ユニセフ)が、先進38カ国の子どもたちの幸福度を調査したところ、日本は世界で総合20位、精神的幸福度では37位でした。ユニセフは、コロナ禍で子どもの幸福率が後退する恐れがあるとして、各国政府が行動することを求めています。

この記事のポイント

健康面は1位でも…

調査結果は、ユニセフのイノチェンティ研究所が発表した「レポートカード」にまとめられました。子どもの幸福度の総合1位はオランダ、2位はデンマーク、3位はノルウェー。日本は中位にとどまります。
調査は、3分野に分けて行っています。一つ目は、精神的幸福度です。生活満足度の高い子どもの割合や、子どもの自殺率から割り出しました。日本は、この分野で37位でした。1位はオランダ、2位はキプロス、3位はスペインとなっています。日本の15歳の子どもの生活満足度が高い割合は62.2%で、平均75.5%を下回っています。15~19歳の10万人当たりの自殺者数は、平均6.5人に対し、日本は7.5人です。
二つ目の分野である身体的健康度は、子どもの死亡率や、肥満の子どもの割合から算出します。1位は日本で、2位はルクセンブルク、3位はスイスとなりました。

学力や社会的スキルも重要

三つ目の分野として、「スキル」が挙げられています。経済協力開発機構(OECD)「生徒の学習到達度調査」(PISA)の読解力や数学的リテラシー、学校での社会的スキルを基に、指標化しました。1位はノルウェー、2位はスロバキア、3位はオランダで、日本は27位となりました。読解力・数学分野で基礎的な習熟度に達している15歳の子どもの割合は、日本は72.9%と、平均62.3%を上回りましたが、「すぐに友達ができる」と答えた15歳の子どもの割合は、平均75.5%に対して、日本は69.1%でした。
日本は、精神的幸福度やスキルで下位グループに入りましたが、身体的健康度が1位だったために、総合順位は20位に落ち着いた形です。

コロナの影響食い止める対策を

レポートは、新型コロナ前のデータを基にしています。ユニセフは、コロナが経済や教育、社会に影響を与え、子どもの幸福度が下がる恐れがあるとして、各国政府がコロナ対策の一環として、素早くアクションを起こすことを求めています。

まとめ & 実践 TIPS

内閣府が15歳以上の約1万人を対象に行った調査では、新型コロナ感染症拡大前に比べて、生活満足度は25%低下し、社会とのつながりの満足度は29%低下しています。
生活満足度の低下は、子どもの幸福度、特に精神的幸福度や、読解力などのスキルの低下につながりかねません。ユニセフが呼び掛ける、貧困の改善、子ども・若者のためのメンタルヘルス(心の健康)サービスの格差是正、子育て支援の充実などは、ウィズコロナ時代の先進国に共通の課題と言えるでしょう。

(筆者:長尾康子)


※ ユニセフ 報告書「レポートカード16」発表先進国の子どもの幸福度をランキング
https://www.unicef.or.jp/news/2020/0196.html

※ 内閣府 新型コロナウイルス感染症の影響下における生活意識・行動の変化に関する調査
https://www5.cao.go.jp/keizai2/manzoku/index.html

プロフィール


長尾康子

東京生まれ。1995年中央大学文学研究科修了。大手学習塾で保育雑誌の編集者、教育専門紙「日本教育新聞」記者を経て、2001年よりフリー。教育系サイト、教師用雑誌を中心にした記事執筆、書籍編集を手がける。

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