「こんな家庭を作りたい」語ることから始まる夫婦のコミュニケーション
フリーアナウンサーで母でもある天野ひかりさんは、著書『賢い子を育てる夫婦の会話』(あさ出版)の中で、親子の会話だけでなく、夫婦やママとおばあちゃん、同居する家族の会話もお子さまに大きな影響を与えていると書いています。これからの時代に必要とされる自ら考える力や、自己肯定感を育むために特に大切なのは、「相手を認める声かけ」だという天野さん。今回は、子育てにも関わる夫婦の会話について伺いました。
夫婦で家庭を作り上げていく姿を子どもに見せて
子育て世代のご家庭では、「うちのパパは頼めばやってくれるんだけど、頼まないとなにもしてくれない」という悩みを抱えたお母さんも多いかと思います。学校教育でも「自ら考え行動する力」が重要視される流れにある中で、家庭の中でもまずは保護者のかたが行動で示すことができるといいですよね。
そのためには、妻(夫)が夫(妻)に対して、「お皿を出して」「掃除機かけて」「洗濯物畳んで」などと言われないと行動できないような、指示待ち人間を作るのは避けたいもの。では、どうしたらいいでしょうか。私がおすすめしているのは、「こういう夫婦になりたい」「こんな家族になりたい」という望みを話すことです。この時に気をつけてほしいのは、「あなたにこうしてほしい」というのではなく、「わたしはこうしたい」という“Iメッセージ”で伝えること。すると、夫も「妻は自分と一緒に家庭を作り上げていきたいんだな」と感じることができるため、そのために何ができるのか考えるようになります。
毎日の小さなことに関しても同じです。例えば、「片付けて」と言うのではなく、「今日1日、私はすっきりした部屋の中で過ごしたい」というように、Iメッセージで希望を話します。同時に、「リビングがすっきりすると、あなたの趣味の○○もここでできるようになるよ」と、夫のメリットも伝えるようにします。少し面倒かもしれませんが、ちょっとしたご褒美を用意するのです。そうして、部屋がきれいになりお母さんがご機嫌に過ごすことができれば、家族も自然とご機嫌になり、それ自体がご褒美となります。
最初は、なぜ妻ばかり…と思うかもしれませんが、何十年感も腹を立てながら過ごすより建設的ですし、子どもよりも夫の方が早くできるようになりますよ(笑)。
こうして、夫婦で力を合わせて家族を育んでいこうとする思いは、子どもにも伝わります。お子さまが家族という小さな社会の中で「自分も家族の役に立てるようにがんばろう」と思えることが、自ら考える力にも繋がります。
「そんなに怒らなくても」はNG! 子どもを怒る妻に夫ができることとは?
一方、お父さん本人に聞いてみると、その悩みも切実です。講演会などで寄せられるお悩みには、「仕事から家に帰ると、妻が子どもを叱っていることがよくある。そんな時、父親として何をしていいかわからない」というものがとても多く寄せられます。
私は、そんな時はぜひ「お母さんと宿題やってるんだね」「片付けしているんだね」などと声をかけたあとに、「じゃあ、お父さんは洗濯物たたむよ」「夕食の下ごしらえをしておくね」と、家事にコミットして少しでもお母さんの負担を少なくしてあげてくださいとお伝えしています。というのも、多くの場合、お母さんがお子さまに対してガミガミしてしまうのは、お子さま本人が宿題をやらない、片付けをしないなどということに怒っているのではなく、それに対して協力をしてくれないお父さんに対して腹を立てていることがあるからです。
「そんなに怒らなくても」と諌めたり、「お母さんの言うとおりにしなきゃダメじゃないか」などと子どもを攻撃したりするのは避けましょう。何も言わずに自室にこもってしまうというのももってのほかですよ。
ここでは、夫婦の会話に焦点を当ててご紹介しましたが、おじいちゃん・おばあちゃんと同居されている場合や、ほかのきょうだいとの接し方でも同じです。
ぜひお子さまの考える力を養えるような会話を家庭で育めるといいですね。
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『賢い子を育てる夫婦の会話』(あさ出版)
天野ひかり (著), 汐見稔幸 (監修)
子どもは「夫婦の会話」を聞いて、大きく影響を受けています。
本書では、NHK教育テレビ『すくすく子育て』でキャスターを務め、自らも子をもつ母である著者が、
夫婦の会話でみがかれる子どもの「5つの力」と毎日の夫婦の会話のコツを紹介。怒らないと勉強しない、
自分の思いをうまく言えない、友だちや学校の話をしなくなった……といった子どものふるまいが心配な人、
パートナーとの子育てに悩みがちな人は必読です!
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