脳医学者も実践!子どもの「知的好奇心」を伸ばす“たった1つの秘訣”

日本で最先端の脳画像研究を行っている脳医学者・瀧靖之(たき・やすゆき)先生にお聞きする「知的好奇心」を引き出す子育て。前回は、子どもが興味を持てそうなものを見つけ、5歳までにいろいろな実体験をさせることが脳の発達全体にとっても大切だと伺いました。今回は、実践編として、現在5歳の息子さんとの関わり方についてお話をお聞きしました。

子どもの知的好奇心を育てるには実体験が大切!おすすめの方法は?

──前回、本や図鑑などのバーチャルな世界とリアルな世界のつながりが子ども知的の好奇心を引き出すと伺いました。
瀧先生おすすめの体験とはどんなものでしょうか?

そうですね。地方だったら、個人的には山に行くのが1番のおすすめです。

「山は最大の教師」と言われるほど新しい発見も多く、経験しながら学べることが多いですから、本などでインプットした知識を実体験に活かす場としては、すごく良いと思います。

私自身も北海道出身で、自然の中でいろいろなことを経験させてもらいました。

他にも博物館や美術館、図書館など知的好奇心をくすぐるものがたくさんありますし、昆虫を取りに行ったり、魚を釣りに行ったり。

そういったところに親が連れて行くことで、家庭環境だけでは与えられない刺激があると思います。

──やはり小さいうちは親が子どもの興味に寄り添う努力が必要なのでしょうか。

気負う必要はないと思うのですが、知識と体験の繰り返しが脳に蓄積していくことの重要性は、意識しておいて損はありません。

子どもが3歳~5歳の間に知的好奇心を思いっきり育てるためには、親自身も子どもと一緒に人生を楽しむ経験が大切です。

人生は知的好奇心そのものです。

子どもが3歳〜5歳の3年間だけでも、親自身が本気で人生を楽しめていれば、子どもはそれを模倣します。

その時期、親子で本気で知的好奇心を高められていれば、中学生・高校生になっても素地が作られるので、心配はいりません。

5歳までの間に伸ばしたい力とは?
http://benesse.jp/kosodate/201709/20170904-3.html

一児の父でもある瀧先生が実践する、「知的好奇心を伸ばす子育て」とは?

──瀧先生の本では、親が興味を持っていることや趣味を子どもと一緒にやることもご提案されていましたね。

はい。親子で一緒にやること、そして「親自身が楽しむこと」はとても重要だと思っています。

子どもに何かをさせようと思ったときには、一方的に子どもに「やりなさい」と言うだけでは難しいですからね。

子どもに何かをさせようと思ったら、まず親がやる。
本当にそこに尽きると思うんです。

私自身もピアノがすごく好きで。今は親子で一緒に楽しみながら習っていますよ。

──親子でピアノですか!お子さんが興味を持ったきっかけは何だったのでしょう?

私が音楽が好きなこともあって、いつか息子にはピアノをやらせたいと思っていました。

そこで私は、とにかく自分が覚えている曲を、家のピアノで弾きまくったんです(笑)。

その中でエルガーの「愛の挨拶」は、ちょうどフィギュアスケートが好きだった息子が興味を持ったみたいで、ピアノを弾くとなりで、踊るようになりました。

そのうち3歳になって、自分から「ピアノやる」って言い出して、「じゃあ一緒にやろう」って。

今では親子3人で連弾にチャレンジしています。

だいたい土日に合わせる練習をしますが、ステージでも何回か披露したんですよ。

親子で何か一緒にやるというのはすごく楽しいですし、メリットも大きいです。

── 一緒にやることにどんなメリットがあるのでしょう?

子どもの側で、本人の興味関心をより深く観察できることです。

ピアノだったら、家で練習している姿を見て、「この子は音符を読むのが得意だな」とか、あるいは「耳で覚える方が得意だな」とか。
側で見ているからこそ気づくことがたくさんあります。

じっくりと子どもを観察できるので、さらに知的好奇心を深めていくために親がしてあげられることを考えたり、今後の関わり方を考える詳細な情報が手に入ったりするのは、とても大きなメリットだと思います。

──一緒にやるからこそのメリット。面白いですね。その他にも先生が子育てで工夫されていることはありますか?

そうですね、図鑑や本を親自身がこっそりと読んで覚えて、「これ、知ってる?」ってクイズ遊びをするのは、楽しくておすすめです。

親自身も子どもとのコミュニケーションを楽しめますし、子どもにとって褒められることもすごく大事なことだから、答えられたときに褒めてあげると自信になります。

それを繰り返すことで、親子関係も子ども自身もすごくポジティブになるかなと思います。

先日も、私が夜にこっそり恐竜の図鑑を読んで、息子と一緒に過ごす時に「こういう恐竜知ってるか」って聞いたんです。

ちょっと息子が答えられないような難しい問題を出して、「あれ?これ知らないのか」って息子の知的好奇心を刺激するような声かけをしたいんですが、最近は息子の方がよっぽど詳しいですね。(笑)

私の想定を超えるくらい、たくさんのことを知っていて教えてくれて。

でもそういう成長に気付けるのも、楽しいですね。

もう一つの工夫というか、気をつけていることは、ゲームやスマホで時間を浪費し過ぎないようにすることです。

できるだけクリエイティブな楽しみが大事だと思うんです。絵を描いて楽しむとか。ピアノ弾いて楽しむとか。

そこまで能動的じゃなくても、映画を観るとか、スポーツを観るとか、少しクリエイティブというか、文化的で、自然的な、そういうことに興味を持たせる機会を意識的につくることが大事だと思います。

──それはなぜでしょうか。

視野が広がり、そこから良い連鎖が起きやすいからです。

例えば生き物が出るテレビ番組を観ると、生き物の名前を覚えるし、いろいろ地理や歴史のことを覚えます。
こんな風に、関心の幅が広がりやすいんです。

そうしたら今度は旅行に行くなり、博物館に行くなり、知識と体験のつながりに深みが増すきっかけになるでしょう。

──なるほど。文化や自然は、いろいろな文脈が交差しやすいから、体験の幅が広がりやすいということですね。
次回は、脳医学者の瀧靖之先生が、ママとパパからの素朴な疑問に答えてくださいます。お楽しみに!

親子の関わり方のポイントは他にも!
http://benesse.jp/kosodate/201709/20170904-2.html

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