6歳までに身につけたい!天才プログラマーが推奨するAI時代の必須スキル!

10〜20年後、いまある職業の半分がAIやロボットにとってかわられる。(※1)そんな予測が話題になっています。不確かな未来を生き抜くためにどんなスキルが必要なのでしょうか?
明治大学の先端メディアサイエンス学科で工学博士として活躍し、ご自身も3人のお子さんのママである五十嵐悠紀先生にお話を伺います。

単に「スキル」を身につけるだけの教育に意味はない

——最近、「プログラミング教育」「デジタル教育」に注目が集まっていますよね。

そうですね、色々なところでその言葉を聞くようになりました。

プログラミングが小学生に習わせたい習い事のランキングでベスト10に入ってきたり、あちこちで子ども向けのプログラミング講座が開催されたり、今後は小学校でも教育課程に採用されるという話も進んでいます。

五十嵐悠紀(いがらし・ゆき)先生
明治大学総合数理学部先端メディアサイエンス学科専任講師。2005年度下期IPA「天才プログラマー」や、2010年度「第24回独創性を拓く先端技術大賞」学生部門で文部科学大臣賞などを受賞。「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新社)の著者。現在は3児の母として子育てをしながら精力的に活動。

デジタルに対する抵抗感を減らし、デジタルをツールとして使い、自分自身が何か伝えたいこと、やりたいことがあるからこのツールを使う、というような『デジタルとの付き合い方』を身につけることが大事なんじゃないかなと思います。

——デジタルデバイスをただ使えるだけではなく、目的に応じて選んだり使いこなしたりする力の方が大切になってくるんですね。

そうなんです。

実際、そういったこれからの社会を生き抜くために役立つ力は「21世紀型スキル」と呼ばれ、教育関係など幅広い分野ですでに注目されているんですよ。

——「21世紀型スキル」って最近よく聞きますね…。具体的にどんな力なのでしょうか。

「21世紀型スキル」とは、これからのグローバル社会を生き抜くために、子どもたちにどんな能力が必要なのかを示す指針です。

初等教育・中等教育(小学校~高校)での成長過程で必要とされるスキルを10分類し、大きく4つのセクションに分けています。

参考:「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力 55」(河出書房新社)

例えば「思考の方法」では「創造性とイノベーション」が必要とされているなど、私たち親世代が受けていた教育で重視されていた力とはまったく異なる力が求められているんです。

——できるだけ早く身につけておいた方が良い力もあるんですか?

私の著書である「AI世代のデジタル教育 6歳までにきたえておきたい能力55」(河出書房新社)では、小中高での教育目標である「21世紀型スキル」につながるような、幼児期に鍛えたい力を紹介しています。

55個全てを紹介することは難しいので、今回はその中でも特に重要な3つの力の、

・常に学び続ける姿勢
・成果を出す力
・コミュニケーション力

についてお話ししますね。

——ぜひお願いします!

1つ目の力:常に学び続ける姿勢 —「わからないからこそやってみたい!」

——1つ目の「常に学び続ける姿勢」は、どんなイメージをしておくと良いでしょうか。

例えばですが、私の専門分野であるプログラミングや情報技術という分野は、特に「日進月歩」です。
5年後、10年後には今の常識が古い知識になり、全く新しい技術に取って代わられている可能性だってあります。

その時に重要なのは、「常に学び続ける姿勢」があるかどうかです。

たくさんの技術が出て、消えていく中でどれが面白いかとか、新しい技術に気付き、挑戦する力は、子どもたちだけでなく、私たちにとっても大事ですね。

さらに「技術の使い方」を習った上で、自分なりに使い方をカスタマイズしたり、違った角度から物事を考えたりする力も必要になってくると思います。
学んだことをそのまま使えることなんて、ほとんどないですからね。応用する力も必要です。

これは情報技術の分野だけでなく、他の分野でも同じことが言えると思います。

学んだことを活かして何かをやり遂げると、次のステップが開けて、また新しい学びにつながります。
このサイクルがうまく回るように、常に自分から新しいモノ・コトに向かい、インプット・アウトプットをし続ける習慣を育てておくことが大切だと思います。

——それが「常に学び続ける姿勢」なんですね。

親自身が日頃からその姿勢を見せていれば、子どもにも学び続ける面白さは伝わると思うんですよね。
私は実際にそうしていて、「わからない」からあきらめる子よりも、「わからないからやってみたい!」と思う子に育ってほしいなと感じています。

「常に学び続ける姿勢」を身につけたい!
http://benesse.jp/kosodate/201709/20170904-3.html

2つ目の力:成果を出す力 — 「自分でできた!」が原動力に

——2つ目の力は「成果を出す力」ということですが、子どもにとっての「成果」って、ちょっとイメージがつかないのですが…。

確かに子どもが自分だけの力で、大人がイメージする「成果」を出すことは難しいかもしれませんね。

でも「最後まで自分でできた!」というような達成感を味わうことは、小さい時でもできるのではないかなと思います。

例えば毎日の「着替え」でも、取り組み方次第では、自分で着ることができたという喜びを感じ、親から褒めてもらい、さらなる向上心が芽生えることもありますよね。

そうした「達成感」こそが一番大事だ、ということは幼児教育の分野でも言われています。

——「達成感」と聞くとイメージができてきました…!

より効果的に「達成感」を味わうためには、「目標」の立て方が重要です。

ポイントの1つ目は「達成しやすい目標を立てる」ということ。

大人も仕事で目標を立てる機会は多いと思いますが、大きな目標ほど達成できないことも多いですよね。

できるだけ具体的に目標を細分化させて、達成しやすい目標にした方が「できた!」と実感する経験を増やすことができます。

——できるだけ具体的に細かくするんですね!

例えば我が家では、「忘れ物をしない」という目標ではなく、「靴下、ハンカチ、名札を揃えてから寝る」という目標を立てています。

できそうな目標を子ども自身に立ててもらい、親はそれが達成できるようにしっかり見守っていくことが大切です。

子どもの好きなシールを貼るなどで到達度を可視化して「シールが10個になるまで頑張ろうね!」など、目標に近づく過程を一緒に楽しむのも良いですね。

それから、目標を立てる時の2つ目のポイントは「先回りしすぎちゃいけない」ということです。

長男が年中の頃、アプリを使ってオリジナルの絵本を作っていた時のことです。

色々操作してイラストを並べているうちに、主人公のキャラクターが隠れちゃったんですね。
「この子、イラストの重なりを調整する方法、知ってるかな…」と気になって見ていたら、結局最後までキャラクターが隠れたままだったのですが、長男はその作品に「かくれんぼ」というタイトルをつけたのです。

私が口を出して「こうすればキャラクターが前に出るよ」と教えてしまっていたら、長男が思い描いているのとは違う話になってしまい、達成感を味わえなかったかもしれません。

「待つ姿勢」も達成感を子どもが味わうために大切なんだなと感じたエピソードです。

——忙しい毎日の中では、親が先回りしてしまうことも多いと思うのですが、ちょっと「待ってみる」って、すごく大事ですね。

「できた!」を応援する褒め方のポイント
http://benesse.jp/kosodate/201709/20170904-2.html

3つ目の力:コミュニケーション力 —発達に合わせたコミュニケーション力を育てる

——幼児期に身につけたい力の3つ目は「コミュニケーション力」ということですが、これは現代でも重要なスキルですよね?

たしかに、いつの時代も人とのコミュニケーションは重要ですよね。
ここでのコミュニケーション力は「人と共に生きるための力」や「リーダーシップ」につながっている力のことを指しています。

みんなの意見を聞き、周りを納得させる解決策を提案できる子が、「リーダーシップがある子」というイメージですが、その根底にあるのがコミュニケーション力です。

加えて、グローバル時代になって外国語が必要だと言われていますが、今は翻訳アプリもサイトも進化しています。

そんな中でこれから本当に必要になるのは語学力それ自体ではなく、それを使いこなし、コミュニケーションを通じて問題を発見して解決する力です。

例えば外国人と出会った時に「英語が苦手で恥ずかしいから話しかけられない」と感じるタイプの子もいますが、「英語が苦手だから、『こんにちは』って日本語でもいいから話しかけちゃえ」というタイプの子もいると思います。

性格の違いということももちろんありますが、幼児期から「相手に伝えようとする気持ち」を育てておくことで、コミュニケーション力の土台はつくることができます。

——コミュニケーション力の土台、ですか。

はい。
子どもが最初に社会性を学ぶのは「家庭」なんです。

例えば海外の幼稚園などでは「Show and Tell」といって、1人の子どもがクラスみんなの前で、自分がみんなに見せたいモノ、それについて聞いてほしいモノを持っていってプレゼンするというアクティビティがあります。

家庭でもそれを取り入れてみてはどうでしょう? 週末の夕食時に家族全員で「今週あったこと」について1人ずつ話すことをしてみるのです。

1人で発表する機会、そしてそれに対して質疑応答などで対話する機会を幼少期の頃から持てると良いですね。

——家庭でもコミュニケーション力の土台はつくれるんですね。
それでは次回は今回の話を踏まえて、これからの子どもに必要な力を伸ばすために、親としてどのように関わればいいかを五十嵐先生に伺います。よろしくお願いします!

イラスト:©うえたに夫婦
※1 参考:マイケル・A・オズボーン准教授(2014年)「雇用の未来—コンピューター化によって仕事は失われるのか」

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