麻布中学校3年生 Rさん/栄光学園中学校2年生 Yさんのお母さま

■それぞれの道が開けた今、自立していく子どもたち。これからも子どもたちの伸びようとする芽を摘まずに育んでいきたい。

お母さまにとっての中学受験とは?


実は、長女は生まれたときからかなり重い先天性の四肢機能障がいを負っていて、立って歩くことができないかもしれないと言われていたのです。それが、小さいときから本人も大変な努力をして、自分の足で歩けるようになりました。また幼稚園、小学校と普通学級で多くのかたの愛に恵まれて育ち、中学は自分からインターナショナルスクールを選択して、1人でアメリカに行くほどにしっかりと育ってくれました。私にとって、この経験はたいへん大きいものでした。

またホームステイをしていたイギリス人がいろいろな国のお友だちを連れてきてくれて、いろいろな生き方があるということを目の前で見せてくれたことも大きかったです。世界が広がって、日本の教育システムにも疑問をもちましたし、この大変な受験戦争をくぐり抜けないと幸せになれないなんていうことはないのだということを実感させてもらいました。

だから、本人にその気がないのに無理に引っ張ることはしないようにしていました。結果的に、姉も兄も自分の意思で選択をしたわけです。Yだけは、これまでずっと兄のあとを追って大きくなってきましたが、違う学校に通い始めたことで、初めて自立できました。
私にとっても、もし兄の受験だけで終わっていたら、娘の子育ての経験をもってしても、てんぐになっていたかもしれないのですが、弟で苦労したことで学びをいただくことができました。
中学受験はひとつのチャレンジですが、これで終わりというわけではない。結果はどうあれ、本人にとっていちばん良い道が開けると信じることが大切だと思っています。受験は大変だけれど、息子と濃密な時間を過ごすことができましたから、終わってみれば、感謝すべき時だったなと思います。


中学校生活はいかがですか?


2つの学校はそれぞれ全く違うので驚きの連続ですね。
麻布は本当に自由な学校で、最初はびっくりしました。入学前にほとんど見ていなかったのですが、それがかえって良かったと思うくらい自由なんです。先生がたも、ぎりぎりのところで手を出さずに見守るというのは本当に大変なことだと思いますが、自主性を尊重し、生徒にすべてを任せてやりたいことをとことんやらせて、忍耐をもって育てるという温かさを感じます。
それに対して、栄光はなんにでも先生が丁寧にかかわってくださる。先生の目がいつも近くに感じられて守られているという印象です。お任せして安心という感じで、子どもの人格を育てていただけると思います。
どちらもいい学校ですね。


これから受験をなさるかたへのメッセージをお願いします。


中学受験に関する情報はあふれていますが、子どもによって全く違うので、人と比較しないこと。そして、自分の目でしっかりと確かめることが大切ではないでしょうか。
また、お子さんのことを否定せず、「できない」と決して言わないことです。子どもは、大人が想像する以上に、親の喜ぶ顔が見たくてがんばるものです。いいところを見つけて、ほめてあげてください。


  • 偶然手にとった本だったが、結果的に子どもの進路を決定づけるきっかけとなった。
    『麻布の教育 なぜ、麻布学園出身者は卒業後に強いのか』
    佐藤勝監修(青志社)


<取材後記>
「人生何が幸せかなんてわからない。可能性は無限大にあるし、とらえ方しだいだ。今目の前にあるその過程を楽しくやることが大切」と思えた印象的なお話でした。ユーモアあふれるお母さまが、家庭の太陽的な存在で、一人ひとりのお子さんのことをしっかりと把握されながら、決して無理強いせず、待つ子育てをされてきた結果が実を結んだのではないでしょうか。(教育ジャーナリスト 中曽根陽子)


プロフィール



教育ジャーナリスト、「登録スタッフ制企画編集会社<ワイワイネット>」代表。塾取材や学校長インタビュー経験が豊富。近著に『子どもがバケる学校を探せ! 中学校選びの新基準』(ダイヤモンド社)。

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