受動輸送と能動輸送、チャネルとポンプの違いは?【生体物質と細胞】
受動輸送と能動輸送,チャネルとポンプの違いがわかりません。どのように違うのですか?
進研ゼミからの回答
こんにちは。さっそく質問に回答しますね。
【質問内容】
【問題文】次の文章を読み,文章中の(ア)~(カ)に当てはまる語句を答えよ。
細胞膜は,細胞内と外界を完全に仕切っているわけではなく,特定の物質を透過させる性質をもっている。これを( ア.選択的透過性 )という。( ア.選択的透過性 )には,濃度勾配にしたがって物質を輸送する( イ.受動 )輸送と,エネルギーを用いて濃度勾配に逆らって物質を輸送する( ウ.能動 )輸送がかかわっている。
( イ.受動 )輸送には,特定のイオンのみを通過させるタンパク質でできた( エ.イオンチャネル )や,水分子のみを通過させる( オ.アクアポリン )などがかかわっている。また,タンパク質のうち,アミノ酸や糖など低分子の物質と結合すると,構造が変化してそれらの物質を膜の反対側へ輸送するものを
( カ.担体(輸送体) )という。
一方,( ウ.能動 )輸送の代表例は, ナトリウムポンプである。ナトリウムイオン濃度は赤血球内よりも血しょう中の方が高く,カリウムイオン濃度は血しょう中よりも赤血球内の方が高い。これは,エネルギーを用いてナトリウムイオンを細胞外へ,カリウムイオンを細胞内へ輸送しているからである。
この問題に出てくる,受動輸送と能動輸送,チャネルとポンプの違いがわからない,というご質問ですね。
【質問への回答】
細胞や細胞小器官では,生体膜を介して物質の輸送が行われています。
この輸送には、濃度勾配に基づく拡散によって起こる受動輸送と,
濃度勾配に逆らって起こる能動輸送があります。
次の図のように,生体膜はリン脂質の二重層と,そこにモザイク状に分布するタンパク質からできています。
膜タンパク質のうち,生体膜(リン脂質の二重層)を貫通し,物質の移動にかかわるチャネルやポンプなどのタンパク質を輸送タンパク質といいます。
受動輸送と能動輸送の違いをまとめると次のようになります。
以上のように,受動輸送は物質の濃度の高い側から低い側への輸送ですから,
時間の経過とともに濃度差は小さくなります。
これに対して,能動輸送はエネルギーを使って物質を濃度の低い側から高い側に輸送しますから,
時間が経過しても濃度差は維持されます。
受動輸送と能動輸送,チャネルとポンプについて図で比較すると,
次のようになることを理解しておきましょう。
【学習アドバイス】
この問題のように適切な用語を入れる問題は,あらかじめしくみをきちんと理解していないと正しく解答できません。図と説明をセットで交互に見ながら,はたらきやしくみ,構造の違いについて理解を深めましょう。
これからも進研ゼミで勉強を頑張ってください!