【敬語】二方向に対する敬語がよくわかりません
尊敬語や謙譲語が出てくると、誰から誰への敬意を表しているのかが、よくわかりません。特に、2人の人物に対して敬意を示している場合は、複雑すぎて混乱してしまいます。どのように考えればいいですか。
進研ゼミからの回答
こんにちは。
早速、いただいた質問についてお答えしていきましょう。
【質問の確認】
尊敬語や謙譲語が出てくると、誰から誰への敬意を表しているのかが、よくわかりません。特に、2人の人物に対して敬意を示している場合は、複雑すぎて混乱してしまいます。
どのように考えればいいですか。
【解説】
敬語には、尊敬語・謙譲語・丁寧語の3種類がありますね。
この3種類の敬語は、「誰が」「誰に対して」敬意を表しているのかという「敬意の方向」が違っているのです。「敬意の方向」について、確認しておきましょう。
「誰から誰へ」(敬意の仕組み)
●尊敬語
① 会話文の時・・・会話主から、動作の主体(動作主)である人物へ
② 地の文の時・・・筆者から、動作の主体(動作主)である人物へ
●謙譲語
① 会話文の時・・・会話主から、動作の対象(受け手)である人物へ
② 地の文の時・・・筆者から、動作の対象(受け手)である人物へ
●丁寧語
① 会話文の時・・・会話主から、会話の相手である人物へ
② 地の文の時・・・筆者から、読者へ
「敬意の方向」というと難しく考えがちですが、まず「尊敬語」か「謙譲語」か「丁寧語」かを見分けて、次に「会話文」か「地の文」かを見分ければいいのです。
また、敬語を二つ重ねて、二人の人物に対して敬意を示す用法があります。
(ニ方向への敬語)
① 謙譲+尊敬
〔例〕「(かぐや姫が)公に御文奉りたまふ」(帝にお手紙を差し上げなさる)
→「奉り」という謙譲語によって、文を受け取る帝に対する敬意を表し、「たまふ」という尊敬語によって、文を差し上げるかぐや姫に対する敬意を表す。
② 尊敬+丁寧
〔例〕「御祈りのためとこそ仰せられさぶらいしか」(お祈りのためだとおっしゃいました)
→「仰せらる」(尊敬語)+「さぶらふ」(丁寧語)
③ 謙譲+丁寧
〔例〕「たれにかは憂ひ申しはべらむ」(誰にこの苦しみを申し上げましょう)
→「申す」(謙譲語)+「はべり」(丁寧語)
ニ方向への敬語が用いられている場合、誰から誰への敬意かを答えさせる設問がよく出題されますが、基本の考え方は同じです。
今のうちにしっかり敬意の方向を覚えてしまいましょう。
【アドバイス】
敬語表現は読解の手がかりになり、かつ現代語訳のポイントになっていることも多いので、尊敬語か、謙譲語か、丁寧語かを見分けられると大変役に立ちますよ。
これからも、『進研ゼミ高校講座』を使って、国語の力を伸ばしていってくださいね。