首都圏の私大、進学には「覚悟」も必要?
新年度を迎えて心機一転、勉強をがんばろうとしているお子さんも多いと思います。とりわけ大学進学を控えた高校3年生は、さまざまな可能性に夢を膨らませていることでしょう。一方、この春お子さんを大学に進学させたご家庭では、高かった進学費用の工面にようやく一息ついたころかもしれません。とりわけ費用がかさむのは、地方から大都市圏の大学に進学させる場合です。
東京地区私立大学教職員組合連合(東京私大教連)が毎年行っている「私立大学新入生の家計負担調査」については、本欄でも折に触れて紹介してきましたが、このほどまとまった2014(平成26)年度調査(1都4県の14大学を対象に実施、外部のPDFにリンク)によると、受験から入学までに掛かった費用は、自宅外通学生で約213万8,000円と、前年度に比べ3万2,800円(1.6%)増えました。増えた要因は、受験費用(1万3,200円増)、生活用品費(1万5,100円増)などです。家賃や敷金・礼金も、少し上がりました(計4,500円)。
一方で、出費が落ち着く6月以降の仕送り額の平均は、前年度比500円減の8万8,500円。1986(昭和61)年の調査開始以来、最低を更新しました。ピークだった1994(平成6)年度の12万4,900円に比べれば4万円近くも少なく、家賃を除けば1日当たり900円を下回ってしまいました。保護者の5人に1人が入学費用を借り入れ、その平均額も207万円を超えていますから、無理を押して子どもを首都圏に送り出している家庭が少なくないことがうかがえます。
都会で生活費が高いのは仕方ないにしても、私大の初年度納付金(文部科学省発表)は最新の13(同25)年度データでも平均131万2,526円と高止まりしています。苦しい家計の中、授業料の減額や減免措置、無利子奨学金の拡大や給付奨学金制度の創設など、支援策の充実が期待されるところです。
ただ、それには難しい側面があるのも事実です。首都圏には大規模な大学が多いのですが、それだけに生き残りをかけて、グローバル化への対応など教育の充実に力を入れています。教育の充実は大学側にとって、教員を増やすなど経費の増大につながり、なかなか授業料を下げるわけにはいきません。逆に授業料を上げる強気な大学も少なくないのが実態です。
そうした大学に進学すれば、学生にとって将来の可能性が広がることでしょう。しかし一方で、ただ座って講義を聞き、単位を取れば卒業時に社会から評価される時代では既になく、授業以外の自主学習はもとよりアクティブ・ラーニング(能動的学修、AL)やインターンシップなど、保護者世代に比べて学生生活は格段に忙しくなっています。
学費を自分で稼ぐためアルバイトなどに追われていると、大学で十分な能力を身に付けられず、就職活動でも内定がなかなかもらえない……という心配も、一方ではあります。こうした厳しい現実に対する覚悟とともに、きちんとした生活設計を行わなければならないことも、今の大学進学には不可欠になっているのです。
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