中学で英語が得意になる! 第7回 家庭でできる英語学習(2) 疑問文を作る【前編】

「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能など、ますます「使う」力が求められている中学校の英語。一方、ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)の調査(2009年)によると、「英語が苦手」と答えた生徒は6割に上っています。英語への苦手意識を払しょくし、英語の力を伸ばすためには、何が必要なのでしょうか?
このシリーズでは、「世界の100人の教師」に選ばれたこともある関西大学教授の田尻悟郎先生に、中学英語のつまずきやすいポイントとその解決方法について解説していただきます。

前回までに続き、今回からは、「疑問文を作る」というシンプルな方法で、会話力や文法力を付ける応用学習法をご紹介します。

<中学で英語が得意になる!(動画)>



会話力・文法力をつける活動 「あなたも英語教師」

<7-1.疑問文を作る(動画)>

中学1年生の後半から、英語が苦手になるお子さんが多いことは、第1回でもお話ししました。中1の英語は簡単そうですが、実はいちばん難しいかもしれません。文の構造を理解して使いこなせるようになるためには、たくさんのトレーニング、特にたくさんの音読が必要となります。まずは、教科書の本文をそのまま音読して暗記すること(=習熟)も大切ですが、さらに疑問文を作る練習をすると、応用力が付いてきます。

今回ご紹介する「あなたも英語教師」は、会話力と共に文法の力が身に付き、入試にもつながる活動。1年生の学習の総仕上げともいえる学習法です。

たとえば次のようなストーリーがあります。

This is my sister Jane. (これは私の姉のジェインです。)
Jane lives in Yokohama. (ジェインは横浜に住んでいます。)
She plays tennis. (彼女はテニスをします。)
She likes takoyaki very much.(彼女はたこやきが大好きです。)

まずは、最初の文を疑問文にすると、どうなるでしょうか。
……そう、isを前に持ってくればいいんですよね。

  This is my sister Jane.
Is this my sister Jane?

「……こ……れで疑問文ができた!」ような気がするけれど、「これはうちのお姉ちゃんのジェインですか?」なんて普通はまず言いません。まるでプロのメイクか何かで、お姉ちゃんが別人に変身してしまった、ビフォー・アフターみたいですよね。ですから、myyourに変えます。

Is this your sister Jane?

では、この疑問文に答えてみましょう。語順をもとに戻せば、答えの文になります。ただしこの時は、なるべく代名詞を使うことが大切です。

  Is this your sister Jane?
Yes, this is my sister Jane.

……これで正しいのですが、this(これ)が二度目の登場なので、It(それ)に変えたほうがよいですね。

Yes, it is my sister Jane.

なお、“Yes, it is.”だけでも正しいのですが、中学1年生の場合は、ここで切ってしまわずに、“Yes, it is my sister Jane.”と、フルセンテンスで答えるほうが、会話力、文法力のトレーニングになります。



1つの文から、いくつの疑問文ができる?

<7-2.疑問文を作る(動画)>

This is my sister Jane.
では、この文で、↑ここ(誰= my sister Jane)がわからない時は、どのような疑問文を作ればいいでしょうか。
my sister Janewho とし、
疑問文にするために isを前に出し、聞きたいこと(=who[誰])をいちばん前に持ってきて、
Who is this?
という疑問文ができあがります。この疑問文に答えるには?
  Who is this?
This is my sister Jane.
語順を戻し、whoをもとに戻し……
It is my sister Jane.
thisを代名詞itに変えて、できあがりです。

中学1年生では、この文が次のような3つの構成要素で成り立っていることを理解しなくてはなりません。

This    is    my sister Jane.
誰 何が/は イコール  誰 何を/に


そのうえで、たとえば「ここ(this[誰・何が/は])を尋ねる疑問文を作ってごらん!」と言われた時、this(これが)⇒どちらが(which)とし、いちばん前に持ってきて

Which is your sister Jane? (どれがあなたのお姉さんのジェインなの?)

という文を作れたら、very good! です。

また、疑問文に答える時、どこを強く発音するか、ということも大切。「どこを強く発音すればよいか」という問題は、大学入試でもよく出題されます。

  Which is your sister Jane? ……「どれが?」と聞かれているので
This is my sister Jane. 「これが」を強く発音します。

  Who is this? ……「誰?」と聞かれているので
This is my sister Jane.  「(私の姉の)ジェインです」を強く発音します。

さて、ここまでの内容を振り返ってみましょう。
  This is my sister Jane.
     ▼
   3つの疑問文ができる
     ▼
Is this your sister Jane?
Who is this?
Which is your sister Jane?

次回も、今回に引き続き応用学習法「あなたも英語教師」をご紹介します。さらにさまざまな疑問文を作ったり、答えたりしながら、会話力や文法力を付けていきましょう。

『田尻式フォニックスかるた』『田尻式フォニックスかるた』
<ベネッセコーポレーション/田尻悟郎(編)/3,150=税込み>

プロフィール


田尻悟郎

関西大学 外国語学部 教授。26年の公立中学校勤務を経て現職。NHK『わくわく授業』『プロフェッショナル』等に出演。2004年に「世界のカリスマ教師100人」に選ばれる。新指導要領策定や教科書開発に関わる。主な著書:『田尻悟郎の楽しいフォニックス』(教育出版)

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