中学で英語が得意になる! 第3回 英語が得意になる方法(2)  文字が読める・書けるようになる【前編】

「聞く」「話す」「読む」「書く」の4技能など、ますます「使う」力が求められている中学校の英語。一方、ベネッセ教育研究開発センター(現・ベネッセ教育総合研究所)の調査(2009年)によると、「英語が苦手」と答えた生徒は6割に上っています。英語への苦手意識を払しょくし、英語の力を伸ばすためには、何が必要なのでしょうか?
前回までに続き、「世界の100人の教師」に選ばれたこともある関西大学教授の田尻悟郎先生に、中学英語のつまずきやすいポイントとその解決方法について解説していただきます。

<中学で英語が得意になる!(動画)>



読み方のポイント 子音と母音

<3-1.文字が読める・書けるようになる(動画)>

英語が苦手になる原因のうち、1つは前回までで取り上げた「英語の語順を知らない」こと。もう1つは、「文字が読めない・書けない」ことです。今回はカルタを使って、英語の音と文字を自然に結び付ける方法を教えていただきます。


たとえば次のような、3文字の単語を集めたカルタを用意します。


cup cut map mop
(カップ) (切る) (地図) (モップ)  

文字の上に、その単語の意味を絵で描いてあります。
「cup」と言うと子どもたちはそのカルタを取りますが、その時、カップの絵を見ながら、cupという文字も無意識のうちに目に入れています。くり返しカルタで遊ぶことで、子どもは音と意味を自然に結び付けられるようになると同時に、文字にも親しんでいくんですね。

カルタを裏返すと、同じ単語が、下のように赤い字と黒い字に分けて書かれています。

cup   cut   map  mop   …

では、実際にこのカルタで遊んでみましょう。読んだカードを取ってくださいね。

先生:bu, bu, bu(バ、バ、バとゆっくり発音する)……bus(バス)!
生徒:はい!(「bus」のカードを取る)
先生:bu, bu, bu(バ、バ、バ)……bug!(バグ)
生徒:はい!(「bag」を取る)
先生:残念でした! 今のは「bug(虫)」ですね。
じゃあ、次の問題です。
ca, ca, ca(キャ、キャ、キャ)……can!
生徒:(「can」を取る)
先生:正解!

実はこの3文字カルタは、よく似た音の単語で構成してあります。たとえば、


bug
bus バス
bag かばん
bath 風呂

bugbagは特によく似ていますね。
これをまちがえずに取るためには、buba の音を区別しなくてはなりません。


cap 帽子
cat ねこ
can

これらはすべて“ca”で始まりますが、最後の子音が少しずつ違います。

このように、よく似た音の単語に注意することで、音に対して非常に敏感になります。そのプロセスの中で、文字の読み方を自然に覚えていくのです。
なお、上の単語の中では、bath だけが4文字になっていますが、thは2文字でひとつの音を表します。



文字が読めれば、書けるようになる!

<3-2.文字の読み方(動画)>


babuはよく似ていますが、発音が違います。
baaは「エ」と「ア」をつなげて速く発音した音で、“ベエァ”のようになります。
buuは日本語の「ア」とほぼ同じ。ですから日本語の“バ”と同じような発音になります。

カルタを読む時、まず“ベエァ”と発音すると、子どもたちはbaの文字のついたカードを探すようになります。
そこに、ba で始まるカードが、
bag  bat  bath
の3枚あったとすると、子どもたちは次の子音の発音に集中し、
g  t  th 
の文字に注目するようになります。

つまり、このカルタ遊びのねらいは、以下の3点です。

 ●子音の読み方を知る
 ●子音+母音の読み方を知る
 ●母音単独での読み方を知る

これらは、英語学習の中では非常に大切です。

たとえば、elementary school(小学校)のelementary(初級の、初歩の)という単語を書く時、ほとんどの子どもたちは、
 e le me n ta ry
 リー、というふうに発音しながら書きます。

しかし、この単語をよく見ると、次のようになっているんですね。
 e    le    me   n   ta    ry
 母 / 子+母 / 子+母 / 子 / 子+母 / 子+母

つまり、母音単独子音単独子音+母音の3種類が読めれば、この単語は読めて書けるわけです。しかし、読み方がわからないと、長い単語のつづりを全部かたまりで覚えようとしますので、どうしても思い出せない、という状況に陥ってしまうんですね。

次回からは、英語が読め、書けるようになる母音、子音の読み方のルールを徹底解説します。

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プロフィール


田尻悟郎

関西大学 外国語学部 教授。26年の公立中学校勤務を経て現職。NHK『わくわく授業』『プロフェッショナル』等に出演。2004年に「世界のカリスマ教師100人」に選ばれる。新指導要領策定や教科書開発に関わる。主な著書:『田尻悟郎の楽しいフォニックス』(教育出版)

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