2019年都立高校一般入試 専門学科の動向 国際、情報系に志望者が集まる

今回は、2019年の都立一般入試の専門学科・コースについて速報をお届けします。

工業科・総合学科で苦戦が続く

都立高校の受験倍率は全体として低下傾向にあります。
都立全日制全体の平均倍率は、2017年→2018年→2019年で1.43倍→1.36倍→1.32倍となり、現在の入試制度が始まった06年以降、最も低い値となりました。
学科別に見ると、工業科と総合学科で倍率の低下が目立ちます。
工業科は2017年→2018年→2019年で1.2倍→1.02倍→0.93倍、総合学科は1.35倍→1.16倍→1.1倍。
ちなみに商業科は1.14倍→0.95倍→0.97倍とやや持ち直しています。

国際、園芸、情報、芸術系で高倍率

逆に倍率が高い学科・コースを見てみましょう。
ベスト10は以下のとおりです。(最終応募倍率による)

国際 国際科          2.92倍
園芸 動物科          2.72倍
総合芸術 舞台表現科      2.43倍
八王子桑志 システム情報分野  2.36倍
府中工業 情報技術科      2.20倍
総合芸術 美術科        2.16倍
小平 外国語コース       2.13倍
工芸 デザイン科        2.04倍
農業 食物科          2.00倍
総合芸術 音楽科        1.96倍

国際系の学科は、ここ数年非常に高倍率が続いていますが、平均を年次で見ると少し落ち着いてきています。(2017年→2018年→2019年で1.90倍→2.02倍→1.86倍)。総合芸術高校は舞台表現、美術、音楽とも高倍率。また、工業系でも情報系の分野は志望者が増えています。園芸の動物科、農業の食物科にも志望者が集中しています。

神奈川、千葉、埼玉で目立つ「理数科」、2022年には立川に新設

神奈川、千葉、埼玉の首都圏3県の状況にも目を向けてみると、国際系の学科はいずれも高倍率となっています。また、千葉の県立船橋、県立柏、埼玉の川口市立、大宮などの「理数科」が非常に高い倍率となっていることが注目されます。
東京には現在、他県で人気の理数科はなく、理数科的な存在として科学技術・多摩科学技術に志望者が集まっています。2022年には、立川の普通科の一部が理数科に改編されることが発表されています。都は、都立高校初の理数科設置により、「理数系の素養と情報活用能力等を併せもつ人材の育成」を目指すとしています。

高校の統合・改編は今後も進む

大学進学志望者が増えていることから、普通科志向が強まっています。そのため、工業科・商業科でも大学進学を視野に入れているところが増えています。今後は専門学科・総合学科の再編はさらに進むでしょう。
大学入試改革が進み、高校教育も大きく変わりつつある今、志望校選択の観点も多様化しています。何が「有利」になるか予測がつきにくい時代だからこそ、「どんなことを学びたいか」「何が自分の適性を生かせる道か」についてお子さまと話し合い、普通科・専門学科を問わず幅広い視点で志望校を選ぶ必要があると思います。

プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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