高校からの「大学附属校」志望者が増えている理由

近年、中学入試での「大学附属校人気」が話題となっていますが、高校入試でも大学附属校に志望者が集まる傾向が見られます。今回はその背景についてお話しします。

大学入試改革・私立大学定員厳格化の影響 探究型学習への期待も

いわゆる「附属校人気」の背景には、2021年1月から実施される大学入試改革とともに、私立大学に対する「定員厳格化」の影響があります。定員厳格化は地方の活性化のために東京の23区内の私立大学に学生が集中するのを防ぐための政策で、早慶、MARCHをはじめとする多くの有名私立大学で合格者が絞り込まれ、2017年、2018年の私立大学入試は非常に厳しいものになりました。そのため、併設大学への進学がある程度保証される附属校の志望者が増えているのです。

また、近年は「探究型」などと呼ばれる新しいスタイルの学びに注目が集まっています。附属校は受験勉強に時間を取られずにすむため、以前から探究型の学習が進んでいるところが多く、併設大学の研究施設や図書館を利用できる、研究者と交流がしやすい、第二外国語をしっかり学べるなど、環境的にも恵まれているケースもみられます。大学受験を気にせず、部活やボランティアなど課外活動に打ち込めることも附属校の魅力といえるでしょう。

「高大接続」で一致する 高校・大学側の生き残り戦略

近年、様々な形で中学・高校と大学が提携する「高大接続」の動きが活発化しています。その背景には、18歳人口の減少があります。大学側としては、附属校や系列校を増やすことで一定の学力をもつ生徒を一定数確保したい、中学・高校側には大学とつながりをもつことで志望者を増やしたいという意図があり、両者の生き残り戦略が合致したというわけです。

たとえば東京・目黒区の日出学園は2019年4月より日本大学の準附属校(目黒日大)となることを発表。横浜山手女子は中央大学附属横浜、横浜英和女学院が青山学院横浜英和へと附属校化、系属校化したのも記憶に新しいところです。あるいは早稲田実業、明治大学明治のように、もともと男子校だった附属校を共学化するといった動きも目立ちます。一方、関西ではひとつの私立高校の中に立命館大、関西大といった提携大学別のコースをつくるといったケースがよく見られます。

「附属校の生徒は勉強しない」か

昔は附属校というと、大学受験がない故に「生徒は勉強しない」というイメージがありました。しかし、近年はひとつの大学に対して複数の附属・系列校があるケースも多く、附属校どうしで競い合う形になりがちです。附属校の卒業生の成績がふるわない場合、その学校の卒業生の受け入れ枠が縮小されるという事態になりかねません。大学側も、独自のテストや英語の外部検定などを利用して、附属・系列校の生徒の学力をよりしっかりとチェックするようになっています。
ですから、現在の附属校は学習指導がしっかりしているところが多く、「附属校の生徒は勉強しない」というのはもはや過去の話といえるでしょう。

他大学進学に力を入れている附属校が増加

附属校とひと口にいっても様々です。高校入試の場合、附属校の中でも併設中学のない「高校単独校」に志望者が集まる傾向があります。

また、進学先を見ると、大部分の生徒が系列大学に進学するところと、他大学進学にも力を入れているところがあります。明治大、法政大などの附属校は、国公立大学、併設大学にない学部等の条件で、併設大学への推薦権を保持したまま、他大学の受験を認めています。
進学先として附属校を検討する際は、併設大学に設置されている学部や進学実績と同時に、併設大学への推薦制度についても、きちんと調べておく必要があるでしょう。

次回は、附属校を検討する際、注意すべき点についてさらに詳しくお話しします。

プロフィール

安田理

安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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