志望校決定の前に——各校の「新しい学び」をどう見極める?[中学入試]

大学入試改革は、高等教育と大学教育を一体としてとらえ、接点を増やす「高大接続」の考え方に基づいています。
高校でも、大学や社会で求められるような、答えのない課題に取り組むための思考力や判断力、表現力を養っていこう、そのために高校と大学との接点である大学入試が見直されようとしているのです。
この動きを見据え、中高一貫校では様々な取り組みがなされています。課題研究やアクティブ・ラーニングと呼ばれる新しい学びを授業にどう取り入れているかは、今後の志望校決定の大きなポイントとなるでしょう。

今回は、志望校決定の際に考慮したい、各校の課題研究の取り組みについてお話しします。

大学の推薦・AO入試増加を見据えて

先日、現在40歳代になるかつての塾の教え子たちに、わが子の中学受験について様々な話を聞く機会がありました。
「少子化の時代、せっかく入った学校が先細りになっては困る」
「英語に力を入れるのはいいけれど、AI(人工知能)が発達したら単なる英会話はいらなくなるのでは?」
「今後は大学の一般入試が減ってAO入試が増えるというから、従来通りの受験対策だけでは不安。今後求められる思考力や課題解決力が身につくような教育でないと……」など。

話を聞いていて、新指導要領に記されている思考力・判断力・表現力をどのように育んでいくかについては、現場で模索が続いており、どの学校の教育がわが子に合っているのか、見極めが難しく心配事が多いことが、あらためて実感できました。
今後は大学の一般入試の枠が減って推薦・AO入試が増える見通しです。課題研究を授業にどう取り入れるかが、AO入試の合格実績に大きく関わってくるでしょう。

課題研究には、教育者と研究者の協力体制が大切

課題研究は、PBL(Project Based Learning)やアクティブ・ラーニングと呼ばれる、ある問題についてグループで研究や製作を行い、最後に成果をまとめて発表する課題解決型の学びが中心であり、新学習指導要領でも大きなテーマとなっています。

課題研究は、大学での研究と同様、決まった答えがありません。必要な資料や情報の集め方、メンバーのアイデアや意見のまとめ方、検証の方法やプレゼンの組み立てといった研究手法は、研究者がいちばんよく知っています。
教育者は、知識や考え方を教えることに長けていますが、研究の進め方については詳しくない場合も多いと思います。一方、課題研究に先立って、基礎的な知識や考え方を教える教育者の役割も重要です。
ですから、充実した課題研究を実現させるためには、学校の先生と、大学や企業等の現場で研究に携わっている研究者とが協力して、学びのデザインを組み立てていくことが大切です。

多くの学校で苦心しているのは、研究者とのコラボレーションをどう実現するかという問題です。附属校であれば、系列大学の研究者との連携は比較的容易にできますし、OB・OGの人材を駆使して質の高い課題研究を実現している伝統校も数多くあります。まだ歴史の浅い広尾学園などは、大学の研究過程に大胆に踏み込んだことで、近年急激に大学合格実績を伸ばしました。

多様な価値観・考え方をもつ生徒を受け入れているか

思考力や表現力を伸ばすためには、議論することが大切です。課題研究を行っても、発言せず黙ったままの生徒が多いし、よく発言する生徒はいじめられたりして、まったく「アクティブ」な授業にならない……こんな悩みを先生方からよく聞きます。

課題研究を成功させるために、日本の教室に必要なのは「多様性」だと思います。様々な考え方をもつ生徒が集まっていれば、自然に議論は活発化します。適性試験型入試、英語入試、算数1科入試など、入試方法が多様化しているのも、多様な生徒を集めたいという学校の意志の表れともいえます。

PBLなどの授業見学の機会があれば、志望校決定の前にぜひお子さまと足を運んでみてください。生徒たちが生き生きと課題研究に取り組み、目の前が開けるような議論が繰り広げられていれば素晴らしいですね。

プロフィール

森上展安

森上展安

森上教育研究所(1977年に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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