国語苦手克服法 6年生 「過去問読書」で読むスピードと得点力をUP!

6年生の保護者のかたから、「国語の点が取れない」という相談を受けたとき、私がおすすめしている学習法の1つに「過去問読書(過去に出題された入試問題の読書)」があります。入試に出題された文章を読みながら、読解のスピードを上げ、得点力をつけるための方法です。

「何がどこに書いてあるか」がつかめているか?

入試問題で点が取れない大きな原因として「読むスピードが遅い」「最後まで集中力が続かない」ことが挙げられます。 たとえば説明文や論説文では、新書レベルの文章がよく取り上げられます。最初の5行くらい読んでみて、難しすぎて何の話だかよくわからないので、いやになってしまう。そうなると、最後まで集中力をもって読み通すことも難しくなります。物語文も、心情表現のこまやかなものが多く、特に男の子は、恋愛関係の物語が苦手で、好意の表現を、いじめていると勘違いしてしまうこともあります。
このような場合、問題を解く以前にまず「何の話」で、「どこにどんなことが書いてあったか」を大まかにつかむことが必要です。そのためにおすすめなのが「過去問読書」なのです。

テーマごとに問題文を集め、時間を決めて「読む」

入試に出る文章のテーマは、案外決まっています。説明文や論説文なら「動植物・自然環境」「文化・習慣」「文学・芸術」「言語・コミュニケーション」「哲学」の5つ。これらをテーマにした入試問題を集め、テーマごとに、1日1本、できれば毎日、読書のように読ませます。その後、「何の話だった?」「どんなことが書いてあった?」と質問して、内容を話してもらいましょう。問題は一切解かなくてかまいません。読むだけなら、1本5分~10分、内容を話し合う時間を入れても20分程度でできると思います。

これを繰り返すと、説明文のおおよその展開がつかめてきます。最初に話題が示され、説明と具体例があって、その反論が出され、一般化してから結論をまとめるんだな、というふうに。また、同じテーマの文章では、同じ素材を取り扱うことも多くなりますので、「あ、これはあの話かな」と予測もつけやすくなります。このように頭を働かせながら読む習慣をつけると、途中でわからない部分があっても、最後までがまんして読み通せるようになります。説明文の問題は、文章中の内容をそのまま答えればよいものも多いですから、「どこに何が書いてあったか」さえわかれば、かなり点数が取れるのです。

物語の場合は、「親子」「きょうだい」「親戚」「友達」「恋愛」「ペット」「先生」「他人」…と、主人公との人間関係別に文章を集めるとよいでしょう。たとえば「親子関係」についての物語をいくつか読んでいくと、成長に伴う気持ちのすれ違い、尊敬や軽蔑、厳しさの裏側の愛情など、様々な感情が描かれた作品があり、テーマに対する理解が深まります。同時に読むスピードも上がり、余裕をもって問題に取り組めるようになってきます。

このように、毎日1本読めば、3ヵ月あまりで100本近くの文章を読むことも可能。この積み重ねで、読む力が格段に上がります。ただし、欲張って問題まで解かせようとすると時間が足りなくなり、途中で挫折します。これはあくまで「読む」訓練のみにとどめましょう。

志望校の過去問演習から苦手を見つけ克服する

一方、苦手な設問形式や内容については志望校の過去問演習を通して突きとめ、克服していくことが大切です。志望校でよく出る問題形式や内容の中で、苦手なものから優先順位をつけ、「1点でも2点でも多く取る」ことを考えましょう。選択肢問題が苦手なら、本文の内容と異なる選択肢などをはずしていく消去法の訓練を。記述問題は、部分点でももらえるよう、「書く」練習に力を入れてください。
志望校に文法事項が頻出なら、もちろんしっかり勉強しておく必要があります。苦手な文法問題をそのままにしている子は少なくありませんが、過去問で出題傾向を見れば、敬語の問題や「の」「ない」などの識別問題など、頻出事項は比較的限られています。そこに絞って取り組めば、何日かで苦手を克服できるケースがほとんどです。

国語は、合格者平均点と受験者平均点にあまり差がつかない教科です。算数の場合は10点以上の差がつきやすいのですが、国語は5、6点の差しかないことも。逆に言えば、国語で差をつけられると他の教科で挽回することは苦しくなります。苦手は避けるのではなく、少しでも克服して、入試直前までに合格者平均点に近づくことが大切です。
入試直前までは「やるべきことは多いのに、時間が足りない」という状態が続くと思います。そうした中で、保護者のかたが決断すべきことは「何をステルか」かもしれません。あれもこれもやろうとして結局消化不良になるよりも、志望校合格のためにお子さまにとって何が今一番重要かを考え、優先順位をつけることが大切です。「何をステルか」はとても怖い選択になりますが、「やれば一番得点が上がること」を見極め、かかる時間も考慮に入れて、お子さまに実施させてください。そのためにも、志望校の過去問演習で弱点を見つけ出すことが重要なのです。

(筆者:小泉浩明)

プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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