【2017年度中学入試 社会】 これだけはおさえたい時事問題&公民分野<1>日本国憲法と三権分立

時事問題は、近年は8~9割の学校で出題されており、出題率は増加傾向にあります。そもそも社会科は、世の中を理解するための基礎知識や、物の見方・考え方を培う教科ですから、最近のニュースや社会問題が題材になるのは当然といえます。特に公民分野は、時事問題と深く結び付いています。
そこで、時事問題・公民分野でおさえておきたい項目のうち、日本国憲法と政治のしくみを中心にお話しします。

「18歳選挙権」と主権者教育

国政選挙が行われると、その翌年の中学入試で、選挙関連の問題を取り上げるケースが増えています。今年7月には、参議院議員選挙が行われ、憲法改正を進めようとする改憲勢力が議席の3分の2以上を占める結果となりました。また、この参院選は、選挙権年齢が18歳以上に引き下げられた最初の国政選挙でした。2016(平成28)年度入試の時事問題では、この18歳選挙権が出題数トップで、首都圏の28校で取り上げられ、17(同29)年度も多数出題されると見られます。
社会科は、国の政治の主人公(主権者)としての基礎となるものの見方を養う教科でもあります。選挙権年齢の引き下げで、中学受験生にも、政治について主体的に考えることが問われているのです。

日本国憲法の三大特色は?……大切なのはキーワードの理解!

毎年、日本国憲法はよく出題されますが、近年は憲法の三大特色について説明させる問題が増えています。
日本国憲法の三大特色は「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」です。「国民主権」の意味を問われた場合、「国民に主権があること」では、主権の意味を答えられていないので不正解になります。主権とは「国を治める最高の力」のことです。
「基本的人権」は、誰もが生まれながらにして持っている「人が人らしく生きる権利」のことで、福祉や高齢化社会の問題と絡めてよく出題されます。このように、憲法のキーワードは、意味もしっかり知っておくことが必要です。

よく出題される条文は、直接チェックを

「平和主義」については、憲法の前文9条に明記されており、安保法制や集団的自衛権の問題と関連してよく出題されています。14条(法の下の平等)は「一票の格差」の問題と、25条(生存権)は社会保障制度と絡めて出題されるケースが多いですね。また、最近は憲法改正の手続きを定めた96条の出題が増え、2016年度は8校で出題されました。

また、今年注目したいのが公務員の憲法の尊重・擁護義務を示した99条で、昨年も法政中や立教女学院中などで出題されています。憲法を尊重・擁護する義務を負うのは「天皇または摂政、国務大臣、国会議員、裁判官およびその他の公務員」とされ、「国民」は入っていません。99条は、「憲法によって権力の行き過ぎを防ぎ、国民の人権を守る」という立憲主義の立場を明確に表した条項といえます。

このように、憲法の重要な条文は、ぜひお子さまと一緒に直接目をとおしてみてください。

大日本帝国憲法と日本国憲法の違い

また、大日本帝国憲法(明治憲法)と日本国憲法の違いも、歴史分野でよく出題されます。たとえば人権は、大日本帝国憲法では「天皇が国民に恵み与えたもの」、日本国憲法では「生まれながらに誰もが持っているもの」という位置付けです。大日本帝国憲法は天皇主権、日本国憲法は国民主権。内容を比べてみると、両者の考え方の違いがよくわかります。

「三権分立」は自分で図が書けるように

国会・内閣・裁判所のしくみとはたらきは、政治の枠組みの基本です。特に、国会と内閣の仕事の区別は明確にしておきましょう。たとえば、条約の承認は国会、締結は内閣の仕事ですね。
また、国会・内閣・裁判所が互いにチェックし合う三権分立のしくみも、しっかりと理解しておくこと。三権分立の図を自分で書いて説明できるようにしておくとよいですね。

※この記事は、森上教育研究所主催・わが子が伸びる親の技研究会 「公民・時事問題」講習会(7月12日)の内容をもとに作成しています。

(筆者:早川明夫)

プロフィール


早川明夫

社会科入試問題研究の第一人者。大学付属中高の教頭を経て、文教大学で社会科の教員養成にあたった。現在、文教大学地域連携センター講師。主な著書に『応用自在』『考える社会科地図』『総合資料日本史』『地図っておもしろい!』(監修・執筆)ほか多数。『ジュニアエラ』の総監修者。

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