【6年生】 2016年度首都圏入試の出願傾向・優先課題の絞り方 [中学受験歳時記コラム ~いま取り組むべきこと~ 第59回]

保護者の役割は、子どもの成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。このコラムでは、4年生から6年生のお子さまと保護者のかたに、毎月特に取り組んでほしい重点事項を紹介していきます。
前回に続き、今回は6年生を対象に、2016年度の首都圏中学入試の出願傾向と、追い込みの時期に取り組むべき課題について取り上げます。



私立大学付属校への志望者が増加傾向に

11月初旬時点でわかる情勢を見ると、2016年度入試の大きな変化は「私立大学付属校の復権」です。
昨年度まで、付属校の志望者は減少傾向にありました。ところが、2016年度は多くの付属校で志望者が増加しています。特に早慶、MARCHの付属校で志望者数が大幅に伸びています。この傾向は特に男子で顕著です。
理由としては、制度改革で大学入試が大きく変わると考えられ、先が読めないため、現時点で付属校に入っておこうという意識が働いているものと見られます。



2回目入試に志望者が集まる傾向

多くの学校で2回ないし3回の入試が行われていますが、2016年度は1回目より、2回目の入試に受験生が集まり、1回目のほうが低倍率となる傾向があります。ですから、併願校として難易度の高い学校の2回目入試で合格をめざす、というのは得策ではないかもしれません。



共学志向は継続 難関校の一角で倍率の緩和が見られる

なお、大学付属校でも、日本女子大学附属、学習院女子など、女子大系の名門校の志望者は減少傾向にあります。ここ数年は、全般に「共学志向」が続いており、女子の難関校でも、桜蔭、フェリス、女子学院等の高倍率は相変わらずですが、双葉、横浜共立学園など、一部で倍率の緩和が見られます。男子校も、麻布、駒場東邦などの難関校で倍率が緩やかになっています。女子校・男子校であこがれの学校があれば、挑戦する価値がありそうです。
また、英語だけの入試や公立中高一貫校の適性検査のような入試など、多様な選択肢が増えてきたというのも2016年度の特徴です。お子さまの学力特性と志望校の特徴を考慮し、無理のない入試スケジュールを組んでいただきたいと思います。



過去問を単元別に「縦割り」して課題を絞る

12月から1月いっぱいは、たくさんのことをやろうとするより、受験に向けてやるべきことをいかに絞るかが勝負です。そのために、一度志望校の過去の入試問題(過去問)を、単元別に「縦割り」で分析してみてください。たとえば理科の「天体」、算数の「数の性質」の分野は、この5年間でどんな出題のされ方をしているか、どの項目が何年おきに出ていて、この項目はあまり聞かれないといった特徴がつかめてくると思います。国語の場合は物語文、説明文といった文種別、テーマ別に見るとよいでしょう。家族の問題、環境問題がよくテーマになり、こんな傾向の記述問題が出る、などとわかれば、対策もしやすくなります。頻出する単元やテーマのうち、お子さまが苦手なものから優先順位を付けて取り組みましょう。



応用につながる「基礎」を確実に

特に算数に関しては、典型的な中学入試の良問に絞った薄い問題集を選び、丁寧に取り組んで、できない問題を一つひとつつぶしていってください。それが合格につながる確実な基礎力となります。

ちなみに、「基礎・基本を大切に」とよくいわれますが、元筑波大学附属駒場中学校・高等学校の数学科教諭で、早稲田大学客員教授の駒野誠先生によれば、「基本」はたし算、ひき算のしかたといった大本の知識、「基礎」はそこから一歩進んだ、応用につながる知識を指すそうです。基本は誰でも身に付けることができますが、その知識をどう生かして、応用につなげるかという「基礎」の部分で個人差が生まれます。今取り組んでほしい良問とは、基礎が生きている問題であり、それをマスターすることで解ける応用問題が増えていくのです。

追い込みに向けて、焦りや疲れがたまってくることと思います。お子さまはもちろん、保護者のかたも体調に気を付けながら、お子さまの挑戦を見守ってあげてください。

次回は、4年生を対象に、冬休みの重点課題について取り上げます。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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