1年間の目標と実践課題を定める [中学受験 6年生]

保護者の役割は、成長に応じてベストのタイミングで働きかけ、環境を整えていくこと。6年生の目標と実践課題について取り上げます。



■同じ塾の先輩など、身近な目標を見つける

6年生になったら、ぜひ同じ塾で1、2年上の先輩、同じ小学校で志望校に合格した先輩など、身近に目標となる人を見つけてください。そして、できれば合格までにがんばったこと、苦手教科の克服など、さまざまな体験談を直接聞けるとよいですね。同じ苦労を味わい、努力してきた先輩の存在は、とても励みになるものです。



■6年生の実践課題は「わかる」 応用問題を解くための思考力を養う

この時期、ひととおり基礎を学んだ子どもたちの知識は、断片的になりがち。単元ごとに分断された理解になりがちです。また、教科や単元ごとに得意・苦手のばらつきも大きくなっています。
応用問題や単元・教科融合問題に取り組むためにはまず、各単元の基礎をしっかり見直し、あやふやなところをなくすこと。そして、それらの知識やテクニックを自由に組み合わせて、自分なりに使えるようにすることが必要です。つまり、「知っている」「できる」だけでなく、「わかる」----深く理解することが6年生の実践課題です。



■1学期中に苦手教科・単元の基礎固めを

応用問題を解くためにまず必要なのは、しっかりとした基礎力です。苦手な教科や単元の基礎力の見直しには、時間がかかります。2学期まで放っておくと時間が足りなくなりますので、1学期の間、休日などにまとまった時間をとるようにしてください。普通の教え方では理解できなかったわけですから、できればその教科が得意な人に、工夫して指導してもらうといいでしょう。時間と手間はきっちりかけないと、できるようにはなりません。
苦手教科に取り組む際は、誰でも「できない!」というマイナスの気持ちに傾き、手が止まってしまいがちです。そうしないために大切なのは、「何とかできた!」という経験です。たとえばパズル的な面白い問題を一生懸命考えてついに解いた、といった経験が何度かあれば、マイナスの感情に負けず、粘り強く考えることができるのです。



■応用力を付けるには 個々の文の「意味」だけでなく「文脈」の理解を

国語でいえば、指示語の内容把握や接続語の使い方、短い文章の読解や記述のまとめ方が基礎テクニック。6年生の1学期は、さらにここから進んで、まずは3000字程度の長めの文章を読んで文脈をつかみ、段落ごとの内容の要約ができ、全体としてどういうことをいっているのかわかるようになることが必要です。6年生になると認知力も上がってきますので、長い文章を読むことに慣れつつ、登場人物の心情やテーマをつかむ力も付けていきましょう。
文章を読んで、そこから考察する力は、他のどの教科でも大切になってきます。



■厳選した良問に丁寧に取り組んで

応用力を付けるためには、厳選した良問に、丁寧に取り組むことが必要です。過去の入試問題の中には、非常に優れた良問もあれば、正直、あまり取り組む意義のない問題もありますので、信頼できる塾や家庭教師の先生に厳選してもらうとよいでしょう。
よい問題は、基礎の知識やテクニックを組み合わせ、積み上げることによって、問題の所在はここなのかと気付かせ、新しいものの見方を促すようにつくられています。そのような問題に取り組んだあと、「ここまではできた」「ここからがわからなかった」と丁寧に分析をしていくことが大切です。
応用力を付けるには、よい問題と指導者が不可欠です。よい指導者は、さまざまな場面で応用の利く考え方を教えてくれます。いわば見通しの利く、高い視点からの眺めを体感させてくれるわけです。
良問に取り組みつつ、一つひとつの知識やテクニックを積み上げ、統合しながら考えることを、楽しんでいただければ思います。


プロフィール


森上展安

森上教育研究所(昭和63年(1988年)に設立した民間の教育研究所)代表。中学受験の保護者向けに著名講師による講演会「わが子が伸びる親の『技』研究会」をほぼ毎週主催。

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