説明文など、長い文章になると内容を見失い、行き詰まってしまいます[中学受験]

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。



質問者

小4女子(性格:感情的なタイプ)のお母さま


質問

説明文など、長い文章になると内容を見失うことが多く、行き詰まってしまいます。一方、物語文は短いこともあり、比較的内容を追いやすいようです。文章の種類によって、点数の開きが大きいのが気になります。


小泉先生のアドバイス

短い文章で文や段落の関係を考えるなどの練習をする。

●物語文と説明的文章の違い
物語文は、時間の経過とともに話が進んでいきます。回想などで戻ることはあっても、時間に沿って展開していくことに変わりありません。また、因果関係がはっきりしていることもあり、読みやすいという声が多いようです。一方、説明的文章は時間には関係なく話が展開していきます。因果関係も明確ではないように思え、読み慣れていないこともあって読みにくいのでしょう。時間という拠り所もなく、何の脈絡もなく文や段落が出てくるように感じて、途中で何の話をしているのか分からなくなってしまうのだと思います。

●文や段落の関係・役割の重要性
説明的文章も何かに沿って読んで行かなければ、読みにくいのはあたりまえです。物語が時間や因果関係に沿うのであれば、説明的文章では何でしょう。それは、「文」や「段落」間における“さまざまな関係”です。あるいは、文章全体における「文」や「段落」の“役割”を考えればよいでしょう。ここで“役割”とは、その文や段落が文章全体において、「話題」「まとめ」「具体例」「エピソード」「引用」「補足説明」などの役目を果たしているという意味です。たとえば、「日本語の特徴」が話題である文章を読んでいて、例として“敬語”や“オノマトペの多さ”が出てきたら、「筆者は具体例をあげて説明しようとしている」と意識すれば、話の展開についていけるということです。

●関係を意識して次を予想する
物語文でも説明的文章でも、今までの内容と先の内容の関係を理解しなければ内容がすんなり頭に入ってきません。あるいは、読者は前の内容から先の内容を予想しながら文章を読んでいるといってもよいでしょう。物語文の場合であれば、主人公は次のページで窮地に陥るのではないかと心配したり、最後には友人と和解して欲しいと願ったりと、ハラハラドキドキしながら読み進めていくのです。このように先を予想することで、文章の内容はどんどんビジュアル化して理解されていきます。そしてそれは、説明的文章でも同じです。

段落の最初に「たとえば」とあれば、“これから具体例を示すな”と予想することで、文章がスラスラと頭の中にはいっていきます。文章の中に、たとえば「日本語にはなぜ敬語が多いのでしょうか?」などの「問い」が出てくれば、それに対する「答え」が次に出てくるのではないかと「期待」して読み進めたいものです。そのようにして読めば、その問いに答えている個所も、1つのまとまりとしてしっかり理解できると思います。このように、それぞれの文や段落を関係づけて読むことで、文章全体が何を言いたいかを読み取ることができるのです。

●迷子にならないために
自分が何を読んでいるのか、どういった箇所を読んでいるのかわからなくなってしまうなど、文章中で迷子になることもあるかもしれません。迷子にならずに説明的文章を読み切るためには、このように文や段落の関係を考えて論理的に読むことが大切なのですが、最初は読みづらいかもしれません。読み慣れるためには、最初はごく短い文章から、文や段落の関係を考えながら読む練習をするとよいでしょう。また、動植物や自然環境の話などできるだけ身近な話題の文章から始めるとよいと思います。さらに、集中力や読み飛ばしを回避するために、音読も試してみるとよいでしょう。最初の5行を読んでその文章のテーマについて予想したり、筆者のイイタイコトを一文でまとめたりするなどの練習も読解力を上げる方法だと思います。このような練習を続けていけば、長い説明的文章でも徐々に読めるようになっていくでしょう。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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