引っかけ問題の苦手を克服するためには、どうすればよいのでしょうか?[中学受験合格言コラム]

引っかけ問題の苦手を克服するためには、どうすればよいのでしょうか?

平山入試研究所の小泉浩明さんが、中学受験・志望校合格を目指す親子にアドバイスする実践的なコーナーです。保護者のかたから寄せられた疑問に小泉さんが回答します。


※小泉さんへのご質問は、不定期にBenesse教育情報サイトメンバー向けのメールマガジン「教育情報サイト通信」で募集をいたします(随時の受付は行っておりません)。


質問者

小6男子(性格:大ざっぱ・感情的なタイプ)のお母さま


質問

とにかく考えることが苦手です。引っかけ問題にことごとく引っかかります。選択肢の問題を解かせて、なぜこの選択肢は正解ではないのかを考えさせることをしています。どうすれば、きちんと理解できるようになるでしょうか?


小泉先生のアドバイス

「その問題」だけでなく、より一般化して物事を考える習慣を身に付ける。

「なぜこの選択肢は正解ではないのかを考えさせる」ということですが、とてもよい復習をされていると思います。国語は論理的に考えることが重要ですから、「なぜ」正解ではないのか(あるいは「なぜ」正解なのか)を、本文を根拠にして考えることはとても大切です。このような復習重視の学習を続けることで、少しずつ国語力が付いていくと思います。

さて、既に述べたように、「なぜ」を考えることは非常に大切ですが、実は、もう1つ重要なことがあります。それは「その選択肢の問題」だけについて考えるのではなく、正解ではない理由をもっと“一般化”して考えることです。たとえば、本文に「人間は体内でビタミンCをつくることはできない」とあるのに、選択肢には「人間は体内でビタミンCをつくることができる」とあれば、当然、この選択肢は×です。理由は、「本文に『作ることはできない』と書いてあるから」ですが、これをさらに一般化すると、「本文と違うことが書いてある場合はダメ」という原則が導けます。そして、このような原則をまとめたものが、選択肢では「消去法」と呼ばれるもので、手順としては以下のようになります。


 (1)明らかにまちがえている選択肢は除く
 (2)本文にないものを含む選択肢は除く
 (3)言いすぎている選択肢は除く(「のみ」「だけ」など)
 (4)最後に2つを残し、最適なものを選ぶ


入試問題に出題される選択肢は紛らわしいものが多いので、「消去法」は有効な道具になると思います。しっかりマスターしましょう。特に、(4)の最後の2つから正解を選ぶ時に、引っかかる皆さんも多いでしょう。ですから、ここでも「どのようにして紛らわしい選択肢をつくるのか?」ということを一般化しておくとよいと思います。たとえば、不正解の選択肢は問題文の言葉をそのまま使い、しかも微妙に違った意味にしておくことがよくあります。そして、正解の選択肢は問題文の言葉をわざわざ言い換えて、しかも、同じ意味にするという手法です。
具体的に示すと、本文では「独創的な彼は、いろいろな道具を作った」とあっても、選択肢の「彼は独創的な道具を作った」が○になるかは疑問だということです。なぜなら、「彼が独創的なこと」は、「彼の作る道具が独創的なこと」を保証しないからです。これらのことを一般化すると、「最後に最適なものを選ぶ時は、本文の言葉をそのまま使っている選択肢には注意」という具合になるでしょう。一般化することで、使える範囲がぐっと広がります。

このように、「その問題を解けるようになる」のではなく、「そのような問題を解けるようになる」ことは非常に大切であり、「応用力を身に付ける」ということにつながると思います。このことは国語だけではなく、算数など他の教科にも当てはまりますから、「その問題」をまちがえた理由を理解するだけで満足するのではなく、一段高い視点から、より一般化して物事を考える習慣を身に付けるとよいと思います。



プロフィール


小泉浩明

桐朋中学・高校、慶応大学卒。米国にてMBA取得後、予備校や塾を開校。現在は平山入試研究所を設立、教材開発など教務研究に専念。著作に「まとめ これだけ!国語(森上教育研究所スキル研究会)」などがある。

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