私立高校の受験校をどう決めるか 私立高校入試のバリエーション[高校受験]

 前回は、私立高校入試の典型的なパターンについてお話ししましたが、都道府県によって、また学校によっては、典型例と異なるかたちも行われています。今回はそうしたものについてふれてみます。

■入試相談での不合格

 推薦入試というのは、私立高校が提示した出願基準を前提として中学校側が志望者を推薦し、12月の入試相談でほぼ決まります。前回、「出願=ほぼ合格=入学」と記したのは、この段階で出願が認められればほぼ合格ということです。多くの推薦入試が応募倍率1.0倍になるのはこのためです。
 一方、数字としては出てきませんが、この入試相談の段階で出願基準に足りない等の理由から、「出願が断られる=不合格」というケースもかなりあります。

■不合格が出る推薦入試

 推薦入試のデータで応募倍率1.2倍などという学校もあります。推薦入試の多くは試験当日に作文と面接を課すというかたちが多いのですが、中には内申点に学校間格差があり、これだけでは判断できないからと(内申点は低くても学力が高い生徒を救いたいというケースも)、「適性検査」(一般入試より試験時間も短く、問題もやさしいことが普通)を実施する学校も出てきています。試験当日に「適性検査」を課し、成績の低い受験生は不合格にするために、1.2倍などということも起こるわけです。推薦入試でこうした不合格者を出す学校の多くは、難関校や有名大学付属校です。

■一般入試の第一志望はさまざまなかたちがある

 一般入試の第一志望は学校によってさまざまなかたちを取っています。

 ・推薦入試での不合格者のみ優遇
 ・推薦入試の出願基準より低い第一志望基準を設定し、クリアしていれば入試得点に一定点を加算
 ・第一志望でありさえすれば、基準を設定せず優遇

 いずれにしても試験当日の得点で決まります。

■併願優遇で私立もOKの学校も

 「併願優遇」を「公立併願」と呼んでいる学校もあるように、ほとんどの学校が公立高校1校のみの併願を認めています。ですから、公立高校が不合格ならば必然的にその私立高校に入学する、ということになるわけです。が、学校によっては他の私立高校を受験しても構わないというケースもあります。
 この併願優遇という制度は、難関校や有名大学付属校には設けられていない制度です。

 以上のように、私立高校の入試制度は学校によって微妙に差異があります。ですから、十分調べ、お子さまに合った受験のしかたをしてください。

 


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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