9月からの受験生活 「できる子」のちょっとした違い[高校受験]

■「できる子」のちょっとした違い

今回からは、9月以降の受験生活について、踏み込んだお話をしていきます。

 去る2013年8月8日、大学入試センターのシンポジウム「入試研究から見た高大接続」をのぞいてきました。皆さまにはまだ関係ない、と思われるかもしれませんが、基調講演の1つに「高校1年次の勉強時間」というものがありました。大学入試センターの准教授のかたが中堅校と進学校の生徒の勉強時間を調べた結果と、その報告です。これは高校受験生にも当てはまるなと思いながら聴きましたので、簡単にまとめてみます。

 ・中堅校の生徒は「指定校推薦」での進学を希望する割合が高く、進学校の生徒は「一般受験」での進学を希望する割合が高い
 ・中堅校の生徒と進学校の生徒では、勉強時間そのものに差がある
 ・「指定校推薦」希望の生徒は、テスト期間中の勉強時間が多くなる
 ・「指定校推薦」希望以外でも、中堅校の生徒はテスト期間中の勉強時間が多くなるが、ふだんの勉強をコツコツやっていないため、学習の「基礎体力」が付かない傾向がある
 ・進学先希望が明確な生徒ほど、勉強時間が長い
 ・将来の仕事希望が明確な生徒ほど、勉強時間が長い
 ・進学校の生徒は、細切れ時間を活用することがうまい
 ・進学校の生徒ほど、部活・趣味と勉強の切り替えが上手
 ・中学時代にあまり勉強せずに、ある程度の高校に合格できたという成功体験がある生徒は、大学受験においても考えが甘い

 当たり前といってしまえば当たり前のことばかりですが、この当たり前のことが重要なのです。
 たとえば、「推薦入試」で高校へ行こうと思っている生徒は、内申点を上げようとしています。そのため、上記で示した「指定校推薦」希望の生徒のように、テスト期間の勉強が中心になりがちです。しかし、これでは「学習の『基礎体力』が付かない」のです。中学校の学習範囲をひと通り復習する、苦手な教科・単元を克服する……といった原点に帰った本来の受験勉強をきちんとするように持っていってください。

 進学校の生徒の「細切れ時間を活用することがうまい」ことや、「部活・趣味と勉強の切り替えが上手」なども参考になります。部活を引退した生徒が陥りやすいケースは、せっかく自由になる時間が増えながら、なんとなくダラダラ過ごしてしまい、有効に使えずに終わってしまうことです。学校から帰ってから夕食までの時間、あるいは塾に出かけるまでの時間、夕食後からお風呂に入るまでの時間、朝出かけるまでのちょっとした時間……そうした半端に空いた時間にできることを、お子さまと一緒に考えてみてください。

 「できる子」と「できない子」の差というのは、案外ちょっとしたところから生まれるのだということを知っていただきたいと思います。

 


プロフィール


安田理

大手出版社で雑誌の編集長を務めた後、受験情報誌・教育書籍の企画・編集にあたる。教育情報プロジェクトを主宰、幅広く教育に関する調査・分析を行う。2002年、安田教育研究所を設立。講演・執筆・情報発信、セミナーの開催、コンサルティングなど幅広く活躍中。
安田教育研究所(http://www.yasudaken.com/)

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